http://mbbook.jp/19730125/
[携帯モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:10
自分も死にたくなるほどの、いじめを受けたことがあったが、亘や兄姉、颯人に支えられたことで乗り越えることが出来たのだ。
亡くなった養父の息子は、親にも相談出来ずに一人で思い悩んでいた。
たった一人でも理解してくれる人がいたなら、そこまで追い詰められなかっただろうに……。
「亘が自分の気持ちを押しとおすのは二度目だな。あの時の行為の方が許せなかったがね」
養父が苦笑する。
「あれは、確かに失礼なことをしてしまったと今では思っています」
養父の言葉に、亘が決まり悪そうな顔をする。

亘が高校3年生の頃、養父母たちは、成績のいい彼に、大学へ行かせたいと望んでいた。
しかし、血の繋がりのない彼らから、大学まで出してもらうことに引け目を感じていたのだ。
亘は就職をすると宣言したが、養父母たちの気がすまない。
亡くした息子に望んでいたような、エリートコースの人生を進んでもらいたかったのではない。
亘が本心から勉強好きだということを知っていたからこそ、彼の未来を狭めたくなかったのだ。
自分たちに遠慮をして、本心を隠していたのはお見通しであった。



[*前へ][次へ#]

10/21ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!