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雪に咲く花
ページ:8
養父は、仏壇にある実の息子の写真に目をやった。
「息子が生きていた頃の私であれば、今すぐここから追い出して、この家の敷居を跨ぐことを許さなかったかも知れんな」
「お義父さん……」
亘が養父を見つめる。
「亘を引き取ったことは間違っていなかったようだ。お前は骨のある人間に育っている。実の息子には、それが出来なかった」
雪斗も、養父母が実の息子を自殺で亡くしている話は聞いていた。
自分たちの息子と同じ匂いを感じた亘を、自ら望んで引き取ったということも……。
「以前の私は世間のレールに乗れない人間を出来損ないだと決めつけていた。優秀な者しか認められない人間だったんだ。私の息子も世間が認める優等生だと信じて疑わなかった。あいつが自ら命を落とすまではね」
養父は、自分の息子に対しての思いを語り始めた。
一人息子が引きこもるまでは、聞き分けが良く成績も優秀だったという。
しかし、息子の死後に遺書を読んで初めて、彼が父親の望む理想の姿を演じていただけだったということを知ったのだ。


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