http://mbbook.jp/19730125/
[携帯モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:4
養父は、少しの間、亘と雪斗の顔を交互に見比べると口を開いた。
「雪斗君と言ったね。君は、もうすぐ就職するそうだが、進学は考えなかったのかい?」
「あのっ!義父さん、雪斗は……」
突然の質問に亘があわてて口をはさもうとしたが、雪斗がはっきりと答えた。
「僕は、家族を助けたくて就職をきめたんです。父と母が亡くなってから、ずっと兄と姉が末っ子の僕を育ててくれて、だから、少しでも家計が楽になるようにお金を稼ぎたかったんです。学校なんて余裕が出てきたときに考えたっていいんだし……」
雪斗にもフォトグラファーになりたいという夢があったのだが、今はとにかく家族の負担を軽くするために金を稼ぎたい。
まだ学生だった自分のために、就職して大学進学をずらした姉の美紅のことまでも養父に語ってきかせた。
「なるほど。君は、まだまだ若いのに家族思いで、しっかりした考えを持っている。話を聞くと君のご兄弟たちもきちんとした人のようだ。感心するよ。しかし、それとこれとは話は別だ。交際するのは反対する」
やはり覚悟を決めてきたものの、すんなりとは認めてくれないようだ。
雪斗も、こんなことなら、彼らに話さない方が良かったんじゃないかと後悔する。


[*前へ][次へ#]

4/21ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!