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雪に咲く花 ページ:2 雪斗と亘は、ハートの中に入り、光輝くベンチに腰かけた。 「はい、行きますよ。はい、チーズ」 カップルの男性は、心よく引き受けてくれ、シャッターを押した。 「有り難うございました」 二人の幸せな笑顔が、カメラの中に収められる。 「それにしても、ボーイッシュな可愛い女の子だったよな」 「彼氏の方もイケメンね」 去り際にカップルが、話していた会話に、雪斗はガクッとする。 「俺は、男だっちゅうの」 亘は腹を抱えて笑っていた。 ドドォーン!! 遠くで、大きな音が聞こえる。 湖で花火が打ち上げられたのだ。 「わあっ!花火だ。早く行こうよ」 雪斗が、湖の方に走りだし、亘も後に続く。 光に囲まれながら、花火は、様々な形を開いていく。 「綺麗だなぁ!こんなの初めてだ」 「うん、冬に見る花火も最高だ」 最後の花を飾る花火が打ち上がった後、白いものが、ちらちらと、空から落ちてきた。 「あっ!雪だ」 「凍えるほど寒かったわけだな」 「ホワイトクリスマスだ。前にも雪が降ったよね」 優しくふる雪は、豪華な光の世界を、より美しく輝かせていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |