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雪に咲く花
ページ:9
雪斗は、松葉杖で歩く颯人とともに、下校しようとしていた。
突然、走ってきた男子生徒が、雪斗に、ぶつかってしまい、よろけて転んでしまった。
「あっ!ごめんなさい!大丈夫ですか?」
男子生徒がしゃがんで雪斗の顔をのぞきこむ。
「馬鹿野郎!どこに目をつけて歩いているんだ!服はたいて、ちゃんと立たせてやれよな!」
「あっ……!はい、すみません」
颯人は、怪我のため、しゃがむことが出来ない。
怒鳴り声に怯み、男子生徒は雪斗の肩に手をのせた。
「怪我してないですか」
彼が、雪斗を起こしてやろうと腕を掴んだ瞬間、どろどろとした闇が脳裏に浮かびあがってくる。
男たちに、身体を弄くりまわされた忌まわしい記憶が……。
「いやあぁ!……離してっ!」
突然、叫び声をあげたかと思えば、男子生徒の手を思い切りはねのけたのだ。
「えっ……!そんなに痛かったすか?」
男子生徒が戸惑いの顔を見せる。
「嫌だっ!誰か助けてっ!……」
だんだんと呼吸が苦しくなり、また過呼吸を起こしたようだ。
「どうしたんですか?どうしよう……打ちどころが悪かったのかな?」
「おいっ!雪斗どうしたんだ?」
颯人も、しゃがもうとするが怪我のせいで体がいうことをきかない。

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