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雪に咲く花
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「こういう時は、美紅の方が頼りになるんだな」
海斗は、雪斗が落ち着いた安心感と、兄の自分が苦しみを救えなかった歯痒さを感じる。
「お医者さんが言ってたけど、こういうのは時間が解決してくれるんだって。楽しいこと、たくさん探せば忘れられるわよ」
「うん、そうだね」
「そうだ。お腹すいてない?せっかく、ビーフシチュー作ったんだら食べましょうよ」
「うん、なんか安心したらお腹すいちゃった。ビーフシチュー楽しみにしてたんだ」
「俺もだぞ。もう腹ペコだ」
浴室での事が、嘘だったかのように、雪斗はビーフシチューを三倍もおかわりした。
「おいっ!チビのくせによく食うな。さっきは泣きべそかいてたくせに……」
「いいじゃないか。食べ盛りなんだから」
「俺の分が、なくなるだろ!少しは遠慮しろよな」
雪斗と海斗が、子供のように言い合いをする。
「全く、二人して幼稚なんだから……。さっきの騒ぎはどこへやら……」
美紅は呆れながらも、雪斗が元気を取り戻したことに安心していた。

しかし、雪斗の傷痕が想像以上に後遺症を残してしまったことに、まだ誰も気付いていなかったのだ。

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あきゅろす。
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