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雪に咲く花
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夕食の支度を終えた美紅が、帰宅して間もない海斗に声をかけた。
「お兄ちゃん、ご飯出来たから、雪斗呼んできてよ」
「あいつ、今風呂に入ってるぜ。シャワーの音が聞こえたぞ」
「えっ!?……一時間以上も前に入ったはずなんだけど……」
「本当か?まさか、あいつ倒れているんじゃなかろうな?ちょっと見てくる」
海斗が、浴室の前まで来ると、激しくシャワーの流れる音が聞こえる。
「おいっ!雪斗、大丈夫か?」
浴室の扉を開けると、雪斗の様子に息を飲んだ。
「汚ない、汚ない、嫌だ……」
弟は、シャワーの湯を目一杯浴び、狂ったように、呟きながら身体をこすっているのだ。
「おいっ!雪斗、どうしたんだよ!?落ち着けよ」
海斗が、うずくまっている雪斗の肩をつかむ。
「いやああぁっ!やめて!……触るなっ!」
叫び声をあげ、手をはねのけると、思い切り海斗を突き飛ばしたのだ。
「いってぇ!おいっ何なんだよ?いったい」
タイルの上に転がった海斗は、尻をさすりながら立ち上がる。
「どうしたの?」
叫び声を聞きつけた美紅も、浴室に顔を出した。

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