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雪に咲く花
(光多の過去)
それから、暫くして、母親は新しい恋人を作り、行方をくらました。
やむを得ず、他に身寄りのない光多は施設に送られた。
そこは、なんと亘がいた施設だったのだ。
そんなこととは知らずに過ごしていたが、ある日偶然、職員が話しているのを耳にしてしまったのである。
「それにしても、光多君が来る前に、亘君に里親が決まって良かった」
自分の話をしているのが分かり、聞き耳をたてた。
「そうよね。子供には罪はないけど、亘君のお母さんは、光多君の叔母さんを殺した人だもの。やりづらくもなるわよね。福原さんには感謝しなきゃね」
彼女達の話によると、自分の叔母は、亘という人のお母さんに殺されたということだ。
いったい彼は、今どうしているんだろう?
子供心に気になり、福原亘という名前を心に刻みつけた。
母親に愛情をまともに受けなかった光多にとって叔母は心の支えだったのだ。
母の恋人に残酷な仕打ちを受けて以来、光多の心に、写真の中でしか知らない叔母の存在は膨らむ一方だったのである。

一年がたち、彼に里親候補が現れた。
光多を欲しいと言う男性は独身だが、やり手の資産家であった。


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