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雪に咲く花
(光多の過去)
光多が1歳のとき、面倒を見ていた叔母が、亘の母の手によって、命を落としてしまったのだ。
姉を頼りにしていた光多の母は、落胆し、亘の母の恨みごとを、子供達に植え付けた。
「あの女が、姉さんを殺したりしなければ、私達はこんなに苦しむことなかったのよ。あんた達も、姉さんを殺した女を呪えばいいわ」
叔母がいなくなった後も、光多の母は子供達の面倒を見ることなく、自分の母親、つまり祖母に面倒を押し付けていたそうだ。
しかし、その祖母も、光多が7歳の時に亡くなり、母親は自分で子育てしなければならなくなった。
勿論、今まで、子育てを他人任せにしていた奔放な彼女に、きちんと子供の面倒など見れるわけがない。
自分の自由がなくなったことで葛藤し、光多達に些細なことで、八つ当たりをする毎日だった。
光多と同じ顔の兄弟、つまり双子の弟は、常に傷だらけの状態だった。
さすがの父親も妻と一緒にいることに耐えきれず、光多達が8歳になった頃、両親は離婚することになった。
光多は母親、双子の弟は父親に引き取られることになり、ずっと支えあっていた分身は離ればなれになったのだ。

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あきゅろす。
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