http://mbbook.jp/19730125/
[携帯モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:10
消毒薬の匂いが、僅かに匂うなかで、雪斗は目を覚ました。
「あっ!目が覚めた?大丈夫?」
横になりながら周りを見回すと、光多が顔を覗いている。
「光多?ここどこ?……」
「保健室まで運ばれたんだよ」
ふいに、ついさっき前に、斉藤達から受けた仕打ちを思い出す。
あの時、痛みと恐怖から過呼吸を起こして苦しんでいたところに背中をさすってくれた人物がいた。
「光多だったんだね。助けてくれたの」
「何も覚えてないんだね?随分と酷い目にあったらしいけど……」
先程までの出来事を思い出し、涙が溢れる。
「俺……もう嫌だ。……ずっと我慢してたけど……もう限界だよ」
颯人が帰って来るまでは、卒業まではと、どんな過酷ないじめにも耐え抜くつもりでいた。
しかし、性的ないじめだけは、過去に受けた性暴力のトラウマも重なって、心のバランスがとれなくなるのだ。
「どうしてなんだよ?……何も悪いことしてないのに、どうして、こんなことことばかり……」
雪斗は声をあげて、泣きじゃくった。
「可哀想に……怖い思いしたんだね」
光多が雪斗の頭を撫で、暫く無言で泣き言を聞いていた。

[*前へ][次へ#]

10/15ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!