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雪に咲く花
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「あっ!歩ちゃん。この前ありがとう。あんまり、綺麗だから食べるの勿体ないなかったけど美味しかったよ」
「いえ、僕は学年が違うし、あんなことしか出来ないから」

雪斗が、いじめを受けているという噂が、偶然、歩の耳にも入っていた。
何日か前に来たときに、歩は颯人に内緒で、雪斗に声をかけたのだ。
「雪斗さん、大丈夫ですか?何か酷いことされているって聞いたから……」
雪斗の目に、涙が溢れそうになるのを歩は見逃さなかった。
「颯人には話してないよね?」
震えそうな声で恐る恐る尋ねた。
「勿論ですよ。こんなこと言ったら、颯人さんのことだから病院を抜け出しかねないですからね」
「そうだね」
「何があっても、僕達雪斗さんの味方ですから、負けないで下さいね。あとこれ良かったら僕の手作りですけど食べて下さい。甘いもの食べると元気でますから、颯人さんには内緒ですよ」
歩はその時、星の形をした大きなクッキーを差し出したのだ。
赤いリボンでとめられた透明の小袋の中に、『元気を出して』とデコペンで描かれている。
「ありがとう。それにしても、歩ちゃんすごいな。こんなこと出来ちゃうなんて」
あの時の、歩の真心が温かく感じたのを覚えている。

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あきゅろす。
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