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雪に咲く花
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「亘の本当のお母さんには悪いが、あの時は、ああでも言わなければ、亘は前を向けないと思ったんだよ」
「分かってますよ。父さんの気持ちは」
まだ、子供だった自分に母親の出来事と向き合うのは、荷が重すぎる。
責任もてる大人になるまで、母親の存在は忘れればいいと言いたかったのだろう。
養父の思いやりは今でも心に染みついている。
血の繋がりがなく、まして犯罪者の息子と知って引き取ってくれた養父母がいなかったたら、心はずっと凍ったままだっただろう。
「亘が臨時ではあるが、無事教師になれて喜ばしいんだよ。しかし、これだけは言っておく」
養父母には、学校を辞めたことは、まだ伝えていない。
その話をするつもりだったが、教師になれたことを喜んでいる二人に話すことが出来なくなってしまったのだ。
「お前は、教師という面子で大切なことを見失わないで欲しい。生徒の真実をきちんと見届けてくれ」
「真実……?」
「そうだ。目に映る事実が本当のこととは限らない。事実と真実は決して比例はしないんだ」
養父の言葉が理解できるようで、できてない思いを抱えて、実家を去った。
教師解任の話は、全てが解決してから話そうと決意する。

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