http://mbbook.jp/19730125/
[携帯モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:5
亘を引き取り、死なせてしまった息子に与えてやれなかった愛情を彼に注ぎ、もう一度子育てをやり直したいと考えたのだ。
母親が罪を犯したとしても、子供には関係ないのだからと……。

亘が、この家に来て暫くしてから、養父が言った。
「亘君、そんなに君を苦しめたお母さんが憎いなら、いっそ殺してしまえばいい」
殺してって、いったいこのおじさんは何を考えているんだ?……。
養父の言葉に呆気にとられていると、更に彼は続ける。
「そうだ。君のお母さんの存在が、君が前を向く邪魔をしてるのなら、お母さんとの記憶を全て消してしまえばいいんだ」
記憶を消す。
そうすれば、自分はこの苦しみから抜け出せるのだろうか?
「君は野崎亘を捨てて、福原亘として第二の人生を踏み出せばいい。だから、これからは、福原亘として私達の息子になってもらいたい」
この時の養父の言葉に、冷たく凍っていた心が溶けていくようだった。
本好きで成績のいい亘は、養父母と気の合う部分が多いと分かった。
次第に養父母に心を開くようになり、現在の亘が出来上がったのだ。

[*前へ][次へ#]

5/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!