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雪に咲く花
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引き取られてからも、亘は必要以上に口を開くことはなかった。
しかし、夫婦は根気よく亘に接したのである。
ある時、養父母が、亡くした一人息子について話して聞かせた。
福原家の仏壇には中学生のまま時間の止まった少年の写真がある。
養父は以前、中学校の教師を務めていた。
一人息子も、同じ中学校に通っており、当時の養父は、規律正しく、学業優先をモットーとする厳しい人間だったのだ。
ある日、今まで従順だった一人息子が、突然不登校になり部屋にこもりきりになった。
養父は、教師の息子が、不登校などとんでもないと考えており、頭ごなしに厳しく叱るだけであった。
学校に行かず、部屋で好き放題している息子に耐えきれず、とうとう部屋から追い出し、自分の世界に戻れないように鍵をかけてしまったのだ。
唯一、安らげる場所を取り上げられ、息子は、部屋中の物を投げつけると家を飛び出した。
しかし、その後悲劇は起きてしまった。
息子は学校の屋上から飛び降り、自らの命をたったのだ。
養父母は、思いがけないことに衝撃を受けた。
息子の葬式を終えて、養母が部屋の整理をしたときに、一冊のノ―トを見つけたのだ。
それを読んだ彼女は息を飲んで涙を流した。

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