http://mbbook.jp/19730125/
[通常モード] [URL送信]

雪に咲く花
ページ:9
翌日、雪斗は亘の話を聞いた颯人とともに、校長に亘を学校において欲しいと頼みこんだ。
「亘、いえ福原先生は頑張ってやっと教師になれたんです。辞めさせないで下さい」
「そうだよ。亘兄、いや福原先生の母さんのことだって、あの人にはなんの罪もないじゃないか。頼むよ。いや頼みます。

雪斗と亘は頭を下げて懇願した。
「君たち、頭をあげなさい」
校長は、二人が頭をあげてから話を始めた。
「君たちが福原先生を思う気持ちはよく分かった。私とて、彼のような優秀な教師をやめさせるのは偲びない。しかしね、君たちの問題は丸くおさめることが出来ても、彼の身内に犯罪者がいるとなると話は別だ」
「だから、それは、先生が悪いんじゃ……」
「分かっている。確かに彼には罪はない。しかしね、保護者の方からも身内に犯罪者がいるような教師に子供を任せられないという声が出ている状況だ。この学校には、1000人以上の生徒たちがいる。福原先生を教師としておいとくのはその多感な年頃の生徒たちにも示しがつかないんだよ」
結局、学校側は、体裁を守りたいだけなんだと感じた。
一人の教師の人生より、大勢の生徒たちの方が、学校側にとって貴重なのだ。

[*前へ][次へ#]

9/13ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!