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雪に咲く花
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テ―ブルの上にすき焼きの入った鍋がグツグツ湯気をたてている。
案の定、雪斗は自分の奢りとはいえ、肉ばかりを狙っていた。
「お前肉ばっかりとっているじゃないか?野菜も食べろよ」
「こういうのは早い者勝ちだって。亘がとろいんだよ」
兄弟が多い雪斗にとっては、兄の海斗との争奪戦が習慣づいているのだ。
「何だよ!こっちは気を使って譲ってやってんのに」
文句をいいながらも、兄弟がいなかった亘にとっては楽しいやり取りなのである。
もし自分に兄弟がいたのなら、このように些細なことで言い合いをしながら、にぎやかに団欒をするのだろうと考えた。
ほぼ野菜ばかりが鍋に残ったころ、亘が白いご飯をいれた。
「ちょっと甘めだけどなかなかいけるんだよな」
煮立ったご飯に卵をいれ、おじやを作る。
こんな素朴な食べ方が美味しかったりするのだ。
「あちち……!、でも野菜とご飯がうまくマッチして美味しいや」
「だろ?」
雪斗がおじやを冷ますためにフ―フ―息をかけながら食べていた。
「可愛いな雪斗は」
亘はそんな雪斗を見つめているうちに抱きしめたい衝動にかられていた。

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