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木兎さんハピバ!! (兎赤というより梟谷のみんな)
(赤葦さんと木兎さんは付き合ってる設定)



9月20日。
その日付が何を意味するかと言えば、我ら梟谷バレー部の誇る大エース、木兎光太郎の誕生日である。


「という訳で、だ。」

部室で木葉さんは、指を組み、そしてそれを顔の前に持っていった。


「木兎の誕生日をどうするか会議、始めるぞ。」


「というか、なんで木葉が仕切ってんだよ」
「あ゛ぁ!?いーだろ別にぃ!!」
ちょっとは活躍させろよ!!とバンバン床を叩いて主張する木葉さんに子見さんは、
「どーでもいいから、早くしねーと木兎来るぞ。」
だって・・・と、少々いじける木葉さん。

それを放っておく他のメンバー。
「いや、やっぱさ、俺、サプライズがいーと思うんだわ。」
「ま、去年は普通にやりましたもんね・・・」

「つーかさぁ、木兎、フツーに自分の誕生日忘れてる気がするんだが」
「あ、それは思った!去年、さんざん自慢してたもんな!『俺明日たんじょーびなんだ!!』つって。」

あの人はどこまで馬鹿なんだろうか。


「うーん、やっぱサプライズにさんせーい」
「俺もー」
「同意。」
と、全部が肯定意見だったため、

「んじゃ、決定?だね。」
とんとんと話が進んでいく。

「場所はどうします?やっぱり、部室ですか?」
「いや、俺、今思いついたんだが、」



「木兎の家っていうのはどーだ?」




「・・・で、俺は木兎さんを1日家から遠ざける係・・・ですか・・・」
木兎さん誕生日当日。

先輩に、
「(1日奴のテンションについて行けるのが)お前しかいねーんだ!!!頼む!!!」
と言われ、(皆の心の声が聞こえた。)




現在に至る。
「なーなー!あかぁーしー!!次これやろーぜー!!」
ゲームセンターで小学生のようにはしゃいでいるのは、確認の必要なく木兎さん。
見ているとこっちが疲れてくる。

「いや、木兎さん、アンタゲームセンターぐらい何回も行ってるでしょーが・・・なんですか、そのハシャギ様。」
「え?ああ、今日は赤葦がいるからな!!だってお前、こういうの全然やらんだろ?」
「・・・ええ、まあそうですけれど・・・」

木兎さんの言葉は、恋人として少し嬉しかったが、表情には決して出さない。
調子に乗るから。


「へへーん、見ろ、あかぁーし。
ユーフォーでとった!!」
といって、木兎さんは少し大きめの黄色いフクロウのようなぬいぐるみを見せてきた。
「あれって、とれるモンなんですか?」
「何回かやればな!!」
「そうだったんですか・・・」
てっきり、UFOキャッチャーというゲームとは、
金を食われるだけのゲームであって、景品はよっぽど幸運でもなければ取れないものだと思っていた。

「ところで、木兎さん、それどーするんですか?」
どう考えてもジャマ・・・ごほん、少し場所をとりそうなぬいぐるみだった。
「持って帰る!!」
言うと思った。

「でもそれ、どうせ後でいらなくなるでしょう・・・」
「ん!?だいじょーぶだいじょーぶ!!」
また無責任に・・・


と、そのとき。
「うわあああぁぁぁぁん!!!」
近くの方から、ものすごい音量の子供の泣き声が聞こえてきた。
そのただごとでは無さそうな雰囲気に、木兎さんと俺は
すぐにそちらの方に向いた。

子供は顔がぐっちゃぐちゃになるほど泣いており、
ただでさえ子供が少し苦手な俺は正直どうすればよいのか分からなかった。

「おかあーさんが、しんだああぁぁぁぁぁぁぁ」
「え・・・っ、ご、ご愁傷さまです・・・?」
「木兎さん、それ多分迷子ですよ」


「と、とりあえず落ち着けな。」
それでも子供はびええええと泣き叫んでいて、
木兎さんと俺は途方に暮れるしかなかった。


「あ、そうだ!!」
突然、木兎さんが叫び、さっきゲットしたぬいぐるみを
取り出した。
「ほら、これやるから、な。泣きやめ。」
木兎さんの笑顔とぬいぐるみの可愛らしさで、
子供はおずおずと手を差し出してぬいぐるみを受け取る。

「泣きやんだか?
んじゃあ、おまえの母ちゃん探しに行くかー!」
「・・・うんっ!」




それから、無事にその子供の母と合流し、ありがとうございましたと何度も何度も頭を下げられ、
こちらもつられて頭を下げ、両方がなんだかペコペコしている図が完成した。





「木兎さん、人助けしましたね。見直しました。」
「おう!!あの子、母ちゃん見つかって良かったな!」
帰り道。
…そろそろ、連絡しておくべきか。

「木兎さん、ちょっと電話かけるんで、先に行っててください。」
「ん?分かった!!」

木兎さんがちょうどいい距離まで行くのを見届けてから、
「あ、もしもし、猿杙さん?あと、10分ぐらいで着くと思います。」
『りょーかーい』


さて、これから木兎さんには死ぬほどびっくりしてもらおう。









その10分後。


「「ハッピーバースデー、木兎―――!!!!」」


皆の祝う声が、夜空に響いた。

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