白い結晶
31
宏尚Side;
「あら、終わり? せっかく面白い画が撮れてたのに」
あまりにも聞き覚えのある声に俺は顔を引きつらせながら振り向いた。
そこには運転席の窓を全開にして俺にケータイのカメラを向けている姉貴がいた。
「……なんでいるんだよ」
そもそも何してるんだよ。
「さしずめ、『宏尚・地団駄を踏む』の巻って感じ?」
その一言で合点がいった俺は途端に呆れ顔になった。
「いい加減そのアホなコレクションは止めろっつってるだろ」
「あら、そのアホなコレクションの大半はあんたよ?」
姉貴の何でもなさそうに言い放った言い分に、言葉が詰まる。
確かに、姉貴の同級生の不倫現場やら親父がお袋の大切にしていた置物にヒビを入れた決定的瞬間やら、ピンからキリまである映像コレクションの中で、何故か俺のものが大半を占める。
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