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読み物(長編)
転調4
教室に戻ったシンジ達。やはりクラスは自習時間のこともあって大変な事になっていた。
入りがたい空気を押し切って教室へ足を踏み入れる。
ジロッ
クラスの視線が一気にシンジ達へ向かう。
「ひっ…ははは……。」
「「桂木さんを連れて行って、いったいどぉこ行ってたんだぁい?君たち?」」
「あっあの…えと……んと…。」
『保健室に行ってたの…。』
「(へ?ミ、ミサトさん?)。」
あたふたとしているシンジ達を横にミサトが弁解する。
『ちょっと頭痛が酷くて…』
「大丈夫!?桂木さん!?」
『えぇ、薬を貰ったから今はすっかり大丈夫…。私、その…この学校に来たばかりだから保健室分からなくて…。
どうしようもなかったところでシンジ君達が私の異変に気付いてくれて……。』
「そうだったのか〜ニクいぞ碇ぃ〜♪」
『というわけなの…心配かけてごめんなさい‥。』
「いいえいいえ〜♪そういう訳なら安心!安心!」
ケンスケ達は言うがままになっている男子達の姿に腹を抱えて笑いをこらえている。
『じゃ…席につきましょう♪』
「はいっ!!」
クラスメイトの威勢のいい返事に一安心したシンジ。そんな彼にミサトは舌をぺろっと出しウインクをする。
『(出来すぎた話を作っちゃったけど…うまくいったみたいね♪)』
「(…は、はい)」
ついゴクリと喉を鳴らしてしまう。恥ずかしい‥直視できない。
顔を真っ赤にしていると授業の終わりを告げるチャイムが響いた。
休み時間に入り、また一段とクラスが賑やかになる。色々な話題に花を咲かせる生徒達…
「はぁ〜、一時はどないなるかと思ったで…。ホンマ、ミサトさんに感謝感激雨あられってとこやなぁ〜。」
ケンスケの机に座り大きな溜め息をもらすトウジ。
「本当、助かったぁ…。ていうか見たか?あの男子ども…笑っちゃうぜ〜♪
録画したかったなぁ〜、傑作フィルムになるよ。」
ビデオカメラを回しながら先ほどの男子達の真似をしてみせるケンスケ。
「ふふふ♪」
ケンスケのリアクションにミサトもつられて笑ってしまう。
『たくっ…どうもこうも、バカシンジ!あんたがあんなことしてなければ…。』
「ご、ごめん…。」
『もうっ!』
「まぁまぁ、アスカ…ね?」
『ヒカリは優し過ぎるのぉ!』
「…あの?」
『なぁにミサト?』
「次の授業って…」
授業合間の休み時間もそれ程長くは無い。そろそろ次の授業のことも考えなければならない。
『ぁあ体育よ…っていけない!早く着替えなきゃ!!いくわよ!ほら準備して!ヒカリ、次体育館でバスケだっけ?』
「うん!」
『じゃ、日焼け止めはいらないわね…。ミサト!早く!』
いそいそろ教室を出ようとするアスカだがミサトは立ち尽くしている。
『今度は何っ?』
「…体操着まだ貰ってないの……。」
そういえば・・・とアスカはどきりとしてしまう。体操着も勿論自分の分しかない。
『ぅ〜っ。あ、バスケ部の子にユニフォーム借りればいいわ!
メグミぃ〜!バスケのユニフォーム貸してくれない〜?ミサトがまだ体操服貰ってないみたいなの〜!』
アスカが友人に声をかける。
すると、いいよ〜!と教室の隅から元気のいい返答が来た。
『ありがとう〜! じゃ決まりね♪行くわよ!!』
「あ、ぅ‥」
しゃきしゃきとしているアスカに半ば出遅れながらもミサト達は颯爽と更衣室に移動して行った。

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