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コイスルオトメ
6
昨日は与謝野ちゃんに
色々と言われたしな。
そうだよ。私ももう少し積極的に
ならないと。駄目だな。

よし、頑張らないと。

ロッカーに私服を入れて
薄暗くて狭い控え室を出た。

身だしなみちゃんと確認したし
オーケーだよね。


関係者以外立ち入り禁止の
ドアを開けて店の接客にまわった。
忙しい。


お客さんのピークは過ぎて
レジの伝票を整理していた。


「あっ。国木田さーん!!
何してるんですか??」

国木田さんがやって来た。

「お前か。」

気怠そうな目で私を見つめる。

「何ですか???
その反応」

「千都世 お前を見ると
胃がキリキリして、視界が定まらない」


どんだけ嫌われてるんだ私は。
そこまで嫌われる事してたっけ?
太宰さんとただ調子こいて
騒いでただけ何だけど。


やっぱり、無理かもしれない。
与謝野ちゃん。無理。
だって今、こんなに嫌われてて
此処からどうすれば印象が良くなる???


もう私分かんないよ。


「ひっどー
どんだけ私の事嫌いなの〜
国木田さん」


本当にどれだけ私の事嫌ってるんだろう。
怖いな。私にやっぱ希望が見えない。
今日デートに誘うって頑張って
意気込んでだけど


そういう事聞くと
やっぱ…鬱陶しいって思われてるんだ。
嫌われてるんだって悲しくなって
悪いなっていう罪悪感が


駄目だな。
私。ネガティブだ。
でもそんな拒否反応起こされたら
そうなるでしょ。いや、嫌いとは
まだ言われてない。
ツンデレという新たな可能性。
いつか、デレがきてくれるはず。
な、わけないか。



取り敢えず今までの事を
反省している事を伝えよう。
もう最近いつも懺悔してるからね。
そうは見えなくても


「国木田さん。いつもすみません。
私ふざけてばっかで…」


国木田さんは凄く驚いていた。
雷に撃たれたような顔をしていて
え、何。そんなに衝撃走っちゃった??


「…新型ウイルスにでも
やられたのかもしれん。救急車を
呼ぶのが妥当だな」


…うん。読めたよ。
その反応。やっぱりそんな反応するんだ。
やっぱり本当に申し訳ないって思って
謝ってるとは思われてないんだ。


「本当に悪いなって思って
謝ってるんですよ??
誠心誠意込めてます。」


「そうか。まぁそうやって
反省するのは良い事だ。」

「これからはもうしません」

「…」


「と言いたい所ですが、
条件が1つあります」


やっぱ面白い国木田さんの反応
見るのは良いな。あんなに反省
してたけどやめる宣言した後は
なんか物寂しい。


もうこれで
最後にするから。真面目になるから…
これだけはさせて欲しい。


私は静かに先輩の胸ポケットに
入ってる『理想手帳』を手に取った。
作戦成功だな。


「これ全部読み切るまで
貸してくださいっ」

「お、おいっ」

「そして私は丁度今から
休憩時間なので休憩します。
さようなら。国木田さん!」


ファミレスでは4時間以上働く時
休憩時間を取るのが義務づけられている。
時間は大体30〜60分間。
此処のファミレスでは人それぞれ
休憩時間が違う。多分。今日は
国木田さんは休憩時間被っていないはず。
計画通りだ。


国木田さんは顔を歪める。

「…やりやがった」

その様子を見ながら
私はスタスタと関係者立ち入り禁止の
扉を開き、休憩室に入った。



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