大好きなんです。


 僕が大好きになった子は少し、ほんの少しだけ不思議ちゃんでした。

「かなちゃん。なにしてるの?」
「しっ! 今、良いところなの」

 木の陰に隠れている彼女の視線の先にはひと組の男女。あれは……告白現場? って、しかもアレA組の黒瀬君と有川さんじゃん! うわわっ、かなちゃん絶対によくないよコレ。告白現場ってだけでも何かイケナイ気分になるのに、あの二人はなんか……物凄く怖いじゃん! なんてゆーかオーラが!

「あ、行っちゃった」
「かなちゃん、こーゆうの良くないよ。人の告白を覗くなんて見つかったら怒られちゃうよ」
「あのね霧島君、あの二人は秘密の仲なの」
「うん?」
「今のはね、告白なんかじゃないの。A組の村谷くんとB組の蓮川さんっているでしょ?」
「う、うん。なんか、初々しくて可愛らしいカップルだよね」

 だんだんかなちゃんの口調が早くなってきた。可愛いんだけどさ、普段はほわわんってしたかなちゃんの新しい一面が見れて嬉しいんだけどさ、そんなキラキラした目で見つめられるとドキドキして心臓が壊れちゃいそう。

「そうっ! 今の二人は別々でその二人の幼なじみで、黒瀬くんと有川さんは今までずっと一緒にいた幼なじみに恋をしちゃってるの!」

 つまり、黒瀬君と蓮川さんが元々幼なじみで、黒瀬君は蓮川さんの事が好き。んで、有川さんと村谷君が黒瀬君達とは別に幼なじみで、有川さんは村谷君の事が好き。って事、だよね?

「今まで大切に育ててきた幼なじみがポーンって他の誰かと付き合っちゃうんだよ? さぁさぁ残った幼なじみはどうしまする?」

 なるほど、そんな二人の思いも虚しく蓮川さんと村谷君が付き合っちゃったんだ……。黒瀬君と有川さん、可哀想かも。

「しまするって……。あ、諦めるとか?」
「あっまーい! 甘いよ霧島君! あの二人はね、手に塩かけて猫可愛がりしながら育てた子をそんな簡単に手放すような人達じゃないのっ」

「そっそうなんだ。じゃぁ今からまたアピール、とか?」
「おしいっ! あの二人はね、村谷君と蓮川さんを別れさせようてしてるのっ!」



「えぇぇーっ!」


「今日は秘密の打ち合わせをしてたの」
「そ、そんな事が……。でもかなちゃん、なんでそんな事知ってるの?」
「へ? なんとなくだよ?」
「え、つまりはカン!? え、じゃあ今のは全部かなちゃんが考えた……」
「うんっ。あたしね、将来は昼ドラの脚本家になりたいの!」

「へっへぇー」

そんな所も可愛く見えます。

(キラキラしてて、ウキウキしてて、でも暖かくて)
09.08.07
09.08.19


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あきゅろす。
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