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小説調で10のお題
溢れる笑顔(犬山)



イライラ。

「おい城島ー?今日機嫌悪くねーか?」

「…………」

山本家のゲームのコントローラーを持ったまま黙り込んでいる城島は、日も暮れかけたころにオレの部屋に来てすぐにゲームの電源を入れてからずっとそのままの姿勢だ。

「柿本と喧嘩したのか?」

「ちげーびゃん!!!!」

≪バコッ≫

「いって!だからってティッシュ箱投げんなよー!」

感情が表にすぐ出る城島だけど今回、感情は出てるけどその理由がわかんねー……。

「…………」

ムスッと黙り込んでまたゲームをやり始める城島だけど普段やらねーパワ○ロをやってコールドゲーム。

「……じゃあ髑r「ブス女もカンケーねーし、別に喧嘩したわけじゃねーし」」

すぐさま第二試合に持ちかける城島は今回表。

「……?じゃあ腹減ったとか?ポテチ食うか?」

「…………うん」

不服そうに頷いた城島の為に机の引き出しからポテチを出して、一緒に食べようと袋を開けた瞬間それは俺の手から強引に引き離された。

ボリボリボリボリボリボリボリボリボリ

俺に背を向けてすごい勢いで食べ始めちまったおかげでポテチはすげー勢いでなくなっていく。

「……それ、一緒に食おうと思ってたんだけど……」

ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ

「もしかして、オレに怒ってんの?」

「………………う゛ん」

唸るような声で返事して城島はポテチがなくなったのかまたゲームを再開しちまった。(コントローラーに油がついた)

「……わりーんだけど、何に怒ってんのか教えてくんね?」

≪ガチャン!!≫

「誰がテメーなんかに教えっかよ!!!!!!!!!!!!!」

コントローラーを乱暴に置いて(壊れちまったかも)唾を飛ばしながら怒鳴った城島。

「わ、わり!」

訳も分からず思わず謝るオレ。

「謝って済むならケーサツはいらねーびょん!!!!」

そう叫んで壁にかけてあったカレンダーを乱暴に引き剥がし、

≪パァン!≫

俺の顔面に投げつけてきた。

「いって……!」

カレンダーの金属部分に当たった鼻をさすりながら城島のいた方を見ても、そこは既にもぬけの殻。

「…………」

何とか城島の機嫌を直したい。

だけどまずなんで怒らせたかわからない。

「……うーん」

きっとあいつは帰っちまったんだと思う。

城島の機嫌が悪い場合、真っ先に被害をこうむるのはクロームだからな……早く謝らねーと。

「ん?」

と、そこで俺の目に入ったのは今日の日付を赤丸チェックされたカレンダー。

「ああ!!!」

≪バサッ≫

俺は思わずカレンダーを落として、立ち上がって部屋から飛び出した。

「何で忘れてたんだよ!城島の機嫌が悪くなるのもあたりめーじゃねぇか!!」

靴を履いて家の裏口から飛び出す。

黒曜ヘルシーランドに向かおうと表の商店街に行こうとした時

「おい!」

意外な事に城島は裏口にいて、そのまま気付かずに通り過ぎそうになった俺を呼びとめてくれた。

「あ!わりぃ!さっきはホントごめん!!!!」

俺はすぐに頭を下げた。

「…………」

「ごめん!俺、今日が1周年記念って忘れてて……、約束守れなくてごめんっ!」



(なぁ武ー、俺達来年もここにきてお祝いしよーぜ!)

(いいなそれ!ここは俺達がはじめてキスしたところだもんな!じゃ、毎年ここで一緒に寿司食おーぜ!)

(……なんで寿司何らよ……)

(だって寿司っていうのはめでたい時に食べるもんなんだぜ?)

(ま、なんでもいいけど……)




「やっぱり忘れてたんらな……」

そう言う城島かかなり落ち込んでため息をついた。

「まだ何とか間に合うと思う、だから今から行ってくんね?」

苦笑いをしながら頼むと

「//////! (あ゛ー!これだから天然は……!無駄にかわいいんらよ!)……しょうがねーから付き合ってやるびょん!///」

「よかったー……」

「ほら!さっさと寿司持っていくぞ!」



* * *



人っ子一人いない静まり返った球場の客席。

「へぇー……試合がないとこんなに静かなんだなー、今まで試合があるときにしか来なかったからなんか変な感じするのな」

「そりゃ誰もいねーからな……」

夜の空気は少し寒くて、城島が風邪ひかねーかちょっと心配だったけど本人は大丈夫だと言ってきかないので城島は薄着だった。

「……それにしても、何でこんな大事な日忘れてたんらよ」

「実は、さっきまであの赤丸チェックは県大会ベスト3まで上り詰めた記念のマルだって勘違いしてて……」

「オレは野球以下かよ!!!!」

ん、そう言えばコイツ前に野球よりダチが大事とか言ってなかったか?

……うげー、いくらバカな俺でも最終的に恋人は友達以下って事ぐらいはわかっちまったぞ。

「武ー、お前俺の事どう思ってんだよ」

「ん?好きだぜ?あ、ちゃんと恋人として」

「恥ずかしげもなく笑顔でサラって言うなっつーの!///」

……ダメだコイツ、多分恋人の重さを分かっちゃねぇ。

「武、こっち向け」

「ん?」

≪チュ≫

無防備な武にキスをしてやった。

「うおっ!///ちょ、な、なにすんだよ/////////」

「べーつにっ!それよりちゃんと甘い卵焼き入ってんの?」

「ああ!なんだ、城島も甘い卵焼き派か!」

「っつーより甘けりゃ卵焼きでも何でもいいんらけど」

なんだそりゃって言ってヘラって笑う武は本当に可愛くてイライラ怒りも忘れさせる。

武はずるいとか考えながらも卵焼きを食べて、

「おいおい!ネタだけ食うなって!」

「だって魚の方がうめーじゃん」

「それじゃ寿司の意味ねーじゃねぇか」

なんてくだらない会話を交わしながら寿司を二人で食った。

「ふぅー腹いっぱいら!」

「オレも腹いっぱいだ」

満足そうに笑いながら武は空を仰ぐと綺麗な星が輝いていた。

「お!城島!空きれいだぞー!」

「んあ?」

正直、星空がきれいだとかいう感覚は俺には分からなかったけど、星の光に照らされ満面の笑みを浮かべた武にはすっげーときめいた。

……っつーか

「……おーい」

「なんだ?」

「オレの存在は野球以下なら今から野球なんて忘れさせてやるよ」

「は?」

俺は客席に武を押し倒した。

「ここでヤっちゃえば武はここに来るたびに今日の事思い出すっつー寸法で」

「這煤I!!いや、それだけは勘弁してくれ!」

「いやー武があんまりにもきれいだからムラついちゃったんらよ。って訳でいっただきまーす!!」

そのあと発情した犬がどうなったかは皆さまのご想像にお任せします。



* * *



(うっかり笑顔で流されそーになるけろ、たまにはこういうのもいいんじゃね?)

(狽「や、場所は考えよーぜ!!)




09/11/23


お題元:処女懐胎と胎内記憶に基づき


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