非日常的な日常
2
おーいててて……。
空からタライなんて……ギャグマンガですか!?
ネタバレ禁止ってことですか?そうなんですか?
全くただでさえ弱い頭がもっとおバカになっちゃうじゃないか!(自覚はしている)
「あ、あの大丈夫?」
「あー大丈夫……」
あははー、ツナはやっぱりやさしいんだなぁ。
安心したよ、黒くなくてさ。
「それならいいんだけど……、じゃ、オレフゥ太のところに行ってくるから」
そういってツナは林の中へと獄寺が制止しようとするのも聞かず駆け込んでしまった。
あたしはツナを追おうと走り出したらだれかに肩を掴まれた。
「てめぇみてーな正体不明の人間と10代目を二人きりにできるか」
今まで空気と化していた(失礼)獄寺だった。
「えーでもあのままだと……」
ムクツナ発動するよ?……と、言いかけて自重したあたしってえらくね?っていうか獄ツナ?あたしとツナを二人きりにして盗られるのが怖いとか?あらやだ萌えるわ!
「おい、何に二ヤけてやがる!てめえなめてんのか!?俺が行くからテメーはすっ込んでろブス女!」
「はぁ!?」
おおう、ごっきゅんにブス言われたよ……、精神的に大ダメージだよこれは。確かに不細工で何のとりえもないけどさぁ……グスン。
とか嘆いていると駆け出していた獄寺と山本をさえぎるように飛んできたおおきな鋼鉄。
「あ!!!!」
そこにいたのは……
「無駄だ、俺には勝てん」
M字ハゲもとい、ランチアだった。
(ランチアが出てきたってことは……!)
「六道骸!!!」
「ついに出てきたな」
「フゥ太に何をしたの…!?」
皆それぞれに感情をあらわにする、その中で獄寺はトライデントモスキートの副作用で
膝をついてしまった。
蛇鋼球を持ち上げ、投げの態勢に入るランチアから山本は獄寺をかばって自ら前に進み出た。
「お前の相手は俺がするぜ」
「千蛇烈覇!」
蛇鋼球はうなりをあげて山本に襲いかる。
「山本!!!」
あたしは思わず駆け出した。この先何が起こるか知っているから……!
山本は蛇鋼球を一歩左に動くことで蛇鋼球を避けようとする。しかし……
「!!!??」
「どせぇぇぇーい!!」
蛇鋼球に吸いつけられて動けなくなった山本を空音は力いっぱい突き飛ばした。
≪ドカッ!≫
「!?」
「ブス女!?」
空音は山本を助けるため自分を身代りにしたのだ。
「おい…、おまえ……」
「うげ…二次元世界でも痛いもんは痛いんだなぁ…」
そう言って空音は意識を手放した。
「あんの馬鹿空音!!!いったいどこほっつき歩いてんの!?」
空音が本来いた世界では、学校にも来ない空音を心配して、理紗が町中を探索していた。
「ったく!電話にも出ないし!」
理紗はもう一度空音のケータイに電話をかけた
―――プルルルル……
プルルルル……。
只今電話にd≪ブチッ≫
「もお〜〜〜!!信じられない!もう一回!」
―――現在この電話番号は使用されておりません。電話番号をお確かめの上……
「あれ?さっきまでは繋がったんだけどな…」
もういちど電話をかけようとして理紗は気づいた。
「空音のアドレス……消えてる……!?」
彼女の電話帳に空音の名前が存在しなかったのだ。
「え、え、え!?」
こんどは空音の母親なら何か知っていると思い空音の母親に電話をかけてみる。
プルルルル≪はい。桃原です≫
空音の母親だった。
「あ、夜乃理紗です。空音は帰っていますか?」
≪……空音?………………誰?≫
「え」
理紗は小さく息をのんだ。ケータイの向こうの声は明らかに空音の母親の声だった。
≪たぶん間違い電話ねぇ≫
「え、ちょ、桃原茜さんですよね!?」
≪ええ…あたしは確かに桃原茜なんだけど、空音って子なんて知らないの…≫
「じ、自分の娘なのに!?」
≪何言ってるの?あたしはずっと旦那と二人暮らしよ。子供なんていないわよ。いたずら電話ならやめなさいね≫
「………………」
≪あたしも暇じゃないから切るわよ?≫
「はい、失礼しました」
ツーっツーっツーっ……
ねぇ、空音はどこに行っちゃったの?
ぱたんと閉じたケータイに貼ってあるプリクラには理紗だけが楽しそうに笑っていた。
一人は……いや、だ……。
会いたい、馬鹿野郎……。
09/06/20
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