非日常的な日常
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ええ!?そんな能力初耳なんですけど!!!!!
釣り!?こんな早朝からふざけんな!!!!
料理音痴なごっきゅん、正直萌えです。
Action.14〜“クソ親父”〜
目覚めはある意味最高でした。
「おはよう理沙ちゃーーーん!!!一緒に朝飯獲りに行くぞーーーー!!!」
「……おはよーございますけど、イーピンとランボが起きたらどうしてくれるんだ。殺すぞゴルァ」
あの、始めましても僕達してないんですけど。いきなり朝飯とかふざけんな。イーピンとかランボも同じ部屋で寝てんだし、ガキ共への配慮もしろっつーの。
「あー悪い悪い!ツナに断られちゃっておじさんBrokenheartだったから、理沙ちゃんにかわりに一緒に行ってもらおうかなーって」
「英語キモい。そんな理由で眠り妨げるな。沈めるぞ」
僕ははっきり言って寝起き悪ぃんだぞ。
「まあまあ、そんなに怒らないd「よし、バラバラに解体して水族館に鮫の餌として売りつけてばら撒いてやる」……もしかして、怒ってる?」
「あたりめーだ!!!!現在時刻午前4時だぞ殺すぞ!!」
普段は6時起床だドカス!!!
「じゃあ、おじさんと一緒に来てくれないんだ……」
う ぜ ぇ !
* * *
「はよー!空音起きてっかー?」
「ままままま待って!待って!着替え中だから!!」
「わ、わりぃ!」
あたしの部屋のドア越しでの会話。下着とか見られてませんよ……?
「はい、お待たせおはよー!」
制服のチャッチャッて着替えて、部屋から出ると山本君ももう制服に着替えていた。
「はよっ、今日は朝早いのな」
「……んー、ちょっと出かけたい所があったから」
っていうよりバジル君の顔が見てみたいだけだけだけど。ちなみに現在時刻は朝の7時。
「そういう山本君も朝早いじゃん!」
「ハハッ俺もちょっと出かけたい所があってよ」
よく見れば山本君はさっきからポケットの中で何かを弄ってる。何かはもう予想がつくけどね。
「行きたい所って中山外科医院でしょ!」
「おっ!せーかい!何でわかったんだ?」
「這狽ヲっと、何となく!」
痛いところを突かれたけど気を取り直そう!うん!山本君が怪訝そうなのも気にしない!
「じゃあ一緒に行こ!あたしも行きたいから!」
「……ん、もしかして空音も……指輪っぽいのあったのか?」
そう言いながらポケットからリングを取り出して見せてくれた。
「ううん、残念ながらあたしは何もないんだけどね」
正直昨晩どんなリングが来るか楽しみにしてたんだけど!ほら、夢小説の王道ルートだとあたしも守護者になって、ヴァリアーのオリキャラとかと戦うじゃん!!!なのに何もなくて凹んだのな!……いや、戦うのは嫌なんだけどね。
「ふーん、ちょっとそのリング見せてー!」
「あいよっ!」
山本君の体温で暖かくなってるリングは、手に取ると結構重みを感じてかなり大事そうな雰囲気を醸し出していた。見るからにただのリングじゃないってかんじ。さすがボンゴレリング。
「……なんか、すっごいね」
「だよなー、空音はこれ知ってるのか?」
「えっ……、うーんと、あたしよりリボーンに聞いた方が分かりやすい説明ができるかと……」
「なんだよ、空音は知ってんだなーっ!分かりやすいって、難しい話なのか?」
「んー……、ツナ総受的な?」
「ん?」
* * *
ザッパーン、ザバーン。
「おおっ!これはなかなかでっかいのがかかったぞ!」
「そーですか……まさか朝日を船の上で迎えるなんて……最悪だ……」
家光さんに拉致られた僕は何故か釣竿を持って、
「理沙ちゃーん!船酔いとかないかい!?」
「機嫌はともかく具合は平気でーす」
剛さんの船に乗ってます。
「あちゃー!逃げられた!」
「…………」
甲板には何でもいいから早く帰らせろと願う僕と、家光さんが釣りをしていて、操縦席には剛さん。
「あの、僕そろそろ帰りたいんですけど……」
「まぁまぁ、積もる話もある事だしツナが起きる前には帰るって!」
「積もる話もクソッタレもねぇよ」
……ああもうヤダ帰りたい寝たい。そう思う現在時刻午前5時。
「あ、そうだそうだ。理沙ちゃん、ツナとはどんな感じなんだい?」
「あ゛?」
意味がわかんねぇ、いや言いたい事は分かるけど脈路が無さすぎる!!
「どんなって……普通に恩人、だけど?家光さんが期待してるような恋愛感情とかねぇから」
正直胸は痛い。でも、こうやって言ってるうちにこの気持ちはなくなる、はず。
「ふーん……、ツナってもしかして好きな人出来たのか?あ、もしかして彼女とかいたり?」
「笹川京子ちゃん。同じクラスの学校のアイドルにツナはぞっこん。現在進行形で片思い中」
あーもー、ニヤニヤ聞いてんじゃねぇよ。僕がイライラする。嫉妬ってやつかな。ああもう気分悪い!!これは決まってるんだって!ツナは京子ちゃんが好きなんだよ!好きになるだけ無駄なのに!!
……この辺の話は不快だ。話題を逸らそうと思って口を開くとその前に家光さんが僕に違う質問を投げかけた。
「理沙ちゃんは、この世界に来れてよかったか?」
「……………」
僕は口を塞いだ。答えは決まってたけど。
「ツナ達に逢えてよかったのか?」
「……はい」
あんな腐った家にいるより、かなり滅茶苦茶で間違っても平凡とは言えないけどこの世界にいた方がいいと思う。
「ツナ達は優しいし、最初は帰りたいって思ったけど、案外悪くないですね」
「おおっ、マグロ釣れたぞーーー!!!!」
「人の話聞け!!!ってかまさかのマグロ一本釣り……」
どんだけすげぇんだよ。かなりおっきいぞ。
「さ、じゃあ帰るか!」
「剛さーん。帰るそうでーす!」
「あいよー!……這狽チてなんだそりゃ!!!」
剛さんもびっくり、マグロを乗せた船は方向転換して並盛町へと戻った。
「いやー、これで奈々も喜ぶぞ〜!」
喜ぶっていうかなんだかな〜……。
「ツナも見ないうちに成長しちゃって、嬉しい限りだ!」
「っ!!!」
その台詞で僕は思わず肩を震わせて息を飲んで動揺しまった。
ああ、この人はちゃんと“お父さん”なんだ……!チャランポランな事言ってるようでも、ツナの心配をして、ツナを愛してる……!僕は、そんな事……一度も……!!!
「ん?どうしたー?顔色悪いぞ?」
「何でもないです……っ!」
動揺を隠しきれてないのか心配そうに僕を見やる家光さんだったが、特に何も言わないでマグロをツルハシで解体し始めた。
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