山本攻略マニュアル
きみからの恋、待ち望んでる(獄→山)
「なあなあ、獄寺ー」
「ああん?んだよ」
今日の野球バカはいつも以上に機嫌がよかった。今も見あきた屈託のねぇ笑顔で笑いかけてきやがる。
「今日夏祭りなんだってな!ツナも誘って獄寺も一緒に行こーぜ!」
「十代目が行くならな……、おれはあくまで十代目の右腕として行ってやる」
これは野球バカといっしょに夏祭りに行くための口実。ここで素直に頷いたらかっこ悪いからな。本当は嫌じゃ、ねぇかもな。
「よしっ!じゃあぜってーツナも連れてかねーとなっ!」
そう言って意味もなく天にガッツパーズを取るのがいかにも野球バカらしい。おれはさりげなくタバコに火をつける。
「けっ!夏祭りごときでいちいち騒ぎすぎなんだよ」
「だって獄寺と一緒に行きてーじゃん!」
「はぁっ!?///」
思わず火をつけたばかりのタバコを落としちまった。
そんな事も意にも介さず、野球バカは楽しみでたまらないかのように話す。
「だって去年は一緒に屋台やったから今年は俺達が屋台をめぐろうぜ!」
そういえばたしか去年はヒバリもいて……とかなんとかほざく野球バカ。十代目の話はともかく、俺の前でヒバリの話をされるととにかくイラつく。踵でさっき落としたタバコを踏みつけた。
「で、今年こそは獄寺の花火みてさー!」
ハッとすると野球バカはニコニコして、俺を見ていた。
「んだよこっち見んな野球バカ!」
顔が赤いのばれちまうだろ!
「いいじゃねーかよ!お前の花火いつもすげーもんな!」
「花火じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!ダイナマイトだっつってんだろ!」
と、そこでオレがなにより尊敬してるお方の声がした。
「山本ー!獄寺くーん!」
「十代目!」
「よ、ツナ!」
野球バカはさっきまで俺に向けていた笑顔を十代目にも向ける。
「てめぇ十代目に対して馴れ馴れしいぞっ!」
なんだか悔しくなったから軽く殴りかかった。(もちろん野球バカに)
「ちょ、もうちょっと仲良くできないのー!?」
「いいんすよ野球バカっすから!」
「何その答えーっ!?」
(オレがてめぇみたいな奴を好きになっちまったつったらかっこわりーだろ?だから野球バカがいつか俺に振り向いてきやがるまでオレは黙ってるからな!)
確かに恋だった
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!