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兎の涙(書記X親衛隊長)
山の上にあるこの学園。この学園は変わっている。だって親衛隊何てものがあるんだから。しかも、その対象は男。つまり、ホモ。ホモ集団がいっぱい。
でも、僕もその集団の一員なんだ。
「隊長!」
「なぁに?」
「書記様との食事会について…、」
「そのことなら今日の会議で話すね。」
「わかりました!ありがとうございます。隊長。」
お察しの通り、¨書記親衛隊長¨なんて肩書きも持ってたり。
僕は書記様のことが本当に大好きで、頑張って隊長にもなった。努力もあってか、滅多に話さない書記様も話しかけてくれるようにもなった。
僕は、この格好良くて、たまに可愛い書記様をずっと見守ってたい。
季節外れの転校生がやって来た。そして、その転校生はこの学園の親衛隊持ちのイケメン達を落としたらしい。
それと同時に、『あの書記が落ちた。』という、噂が流れてきた。
最初は信じられなかった。
前までは、昼休みになると僕のクラスまで来てくれて、僕が作ったお弁当を一緒に食べていた。
でも、最近パッタリと書記様は姿を見せなくなった。やっぱりあの噂は本当なんだろうか。
悔しい。悲しい。どうして転校生なの?
僕の中で、どす黒い感情が溢れてきた。
でも、転校生はすごくいい子だ。明るい性格に、強い正義感。どれをとっても完璧だった。
正直、負けたと思った。だから、僕は書記様を応援しようと思ったんだ。
だって、書記様の幸せが僕の願いだから…。
人どおりが少ない廊下を歩いていると、声が聞こえてきた。その声は転校生の声だった。
「ふぅ、この学園のイケメンも大したことねぇな。ちょっと優しくすればコロッと騙されるんだからな。楽勝すぎてつまんねぇ。次行くかなぁ。」
この言葉を聞くまでは、本当にそう思ってたんだよ。
「でもな〜、書き……!!」
ガツッ!
「っ、ぃってな!何すんだ!」
「お前っ!今の話し本当か!?騙してたのか!?」
「…ぁ〜、お前まさか誰かの親衛隊か?はっ、ご苦労様。」
僕は転校生の言葉を聞いた瞬間、頭がカッとなった。そして、気付いた時には転校生の顔はあり得ないくらい腫れていて、僕の拳は、血で汚れていた。
数人の足音が近づいてくる。それは、終わりへのカウントダウン。
「何があった……って、これは!」
「あぁ!なんてことでしょう!早く保健室に!」
「お前がやったのか!?」
足音の正体は転校生に惚れている人達。中には生徒会の人もいるわけで…、
「書記の親衛隊長だな。退学だ。今すぐこの学園から出て行け。」
会長がそう宣言している中、僕の頭は冷めていた。
やってられない、こんな学園こっちから願い下げだ。あんな奴にうつつを抜かしている奴らが学園トップなんて認めない。
「…ぁ、」
騒ぎを駆けつけて来たのか、書記様がやって来た。目を会わせられない。迷惑をかけてしまった。
僕は書記様に背を向けて歩きだす。書記様の声が聞こえる。いつもは幸せな気持ちになる声が、今は怖かった。僕を責める声を聞きたくない。転校生を心配する声なんか聞きたくない。
僕はその声から逃げるように走り出した。
僕は一度も振り返ることなく、学園を去った。
頬を伝う何かには、気づかない振りをした…。
兎の涙
(いつも、お弁当、ありが、と)
(え!?い、いえ、書記様のためなら!)
(ふふ、可愛い、な)
(や、やめてください///)
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