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僕はヒーロー(一匹狼不良X泣き虫会長)
「拓斗、貴方は誰よりも強い男になりなさい。そして、将来守りたい人が出来たら、その人のためにつくしなさい。」
「そんな人出来るかな?」
「ええ、必ず出来るわ。だから、強くなりなさい。」
「うんっ!」
―――……
懐かしい夢を見た。俺が幼かった日のこと。母が言った忘れられないあの言葉。
あの言葉があって俺は強くなった。この学園の不良共を率いるトップとして。
しかし、俺が守るべき存在は見つかっていない。そもそもそんな奴は本当に見つかるのか?
そう思いはじめてきた矢先、俺の1人部屋だった部屋に同室者が出来た。そいつは、綺麗な金髪に翡翠の色をした、眼を持っている奴だった。
小柄な身長に、くるりとしたまんまるい眼、ほんのり赤みがかった頬、艶のあるぷっくりとした唇、さらさらの金髪がまさに天使を連想させた。
俺は思った。コイツみたいな奴を守ってやればいいんだ。
だから、俺はコイツにくっついて、周りを威嚇してきた。
でも、最近それは間違いだったんだと気付いた。
コイツは餓鬼だ。声はでかいし、わがままで人の話を聞かねぇ。何よりも、自分は守られて当然、愛されて当たり前みたいな態度が気に食わねぇ。
………俺は選択を間違えたようだ。
アイツの目を盗み、1人廊下を歩く。アイツは自分から離れていく存在が嫌だから苦労した。まぁ、今ごろ生徒会やら、クラスの親衛隊もちやらにちやほやされてるから大丈夫だろう。
そうして歩いているうちに、目的地の生徒会室にたどり着いた。前にアイツに連れられて来た時に、忘れものをしてしまい今にいたるというわけだ。
どうせ、生徒会はアイツに構いっきりで誰もいないだろう。
そう思い、目の前の無駄に豪華な扉を開けた。
誰もいないと思っていた生徒会室には人がいた。
しかも、
「うぐ、えっく、う゛〜〜…」
泣いている。あの俺様で傲慢と言われている、会長が……。
そう言えば会長だけは、アイツに惚れていない様子だったな。
まだ泣いている本人は気付いていないようだ。
「……おい。お前、」
そっと声をかける。
「っふぇ?」
会長が驚いたように振り向く。
その顔を見た瞬間、俺は気付いてしまったんだ……………。
「将来守りたい人が出来たら、その人のためにつくしなさい。」
母さん、命にかえて守ってやりたい人が出来ました。
「なぁ、助けてやるよ。」
自然と言葉が出てきた…。
僕はヒーロー
不良のトップ×泣き虫会長でした。
この後、会長のためにがんばっちゃうんじゃないでしょうか。
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