DEATHGAME
裏切り
俺は逃げた。アイツの無機質の瞳から逃れたかった。
暗い部屋の中、ベッドに潜る。目を閉じれば、さっきの光景。心臓がバクバクと鳴り止まない。
……俺はどうする?
あの日から3日たった。俺は未だベッドから出られない。親が心配して声をかけてくるが、俺を支配しているのは、あの光景。
………この時の俺は、あんな結末になるなんて、微塵も思っていなかった。
ベットの中で過ごした4日目の朝、けたたましい騒音で目を覚ました。
なんだ……?
バァン!
「警察だ!手を上げろ!」
勢いよく扉を開けたのは、銃を構えた沢山の警察官だった。
訳がわからなかったが、条件反射で手を上げてしまった。
「リン・ハイアンドだな。貴様を殺人容疑で逮捕する。」
え?さつじん、よ、うぎ?何のことだかさっぱりわからない。
「は?何のことだ?俺じゃない。」
そう言うのは当然なこと。
「しらをきるな!お前が通り魔の正体だということはわかっているんだ!」
通り魔の正体が俺!?なんでそんなことになっているんだ!?
「そんな訳ないだろ!そもそも犯人は………っ、」
アイツの言葉が頭に過る。
「何だ?」
「っ何でもねぇ。……でも、俺じゃない!」
「戯言だな。署に連行する。」
信じて貰えない。どうして?
手錠を嵌められて、家から連れ出された。家の外を出たらそこには、大勢の人だかり。野次馬で俺を見に来たんだろう。
その中には、両親もいた。母さんは涙を流していて、父さんは母さんを慰めていた。
……母さん、泣かないで。
母さんと父さんが俺の方を見た。
「母さ「この疫病神!」…え?」
「アンタなんか生まなきゃ良かった!」
母さんの目は恐ろしいほどの冷たさだった。
……ちがうよ、俺、やってないよ?母さん……?
「そんな奴早く連れていけ!親不幸ものが!」
父さん……?
その言葉をさかいに、野次馬からの声も聞こえてきた。
……アノコガ?
……アノカミト、ヒトミ、オゾマシイ。
……ヤダコッチミタ、キミガワルイワ。
誰も、俺の味方はいない。両親さえも見捨てた。
俺は呆然と視線をさ迷わせた。そして、野次馬の中に良く知っている顔を見つけた。
アイツだ。
アイツはじっと俺を見ていた。無表情に。俺もアイツを見つめた。
アイツと俺の視線がかち合う。
俺の視線に気付いたアイツ。
そしたら、アイツは……、
笑った。
その笑みは、まるで俺を嘲笑っているようだった。
そうか、
俺は最初から一人だった…。
(幸せ、衝撃、束縛、裏切り)
[*逃げる][堕ちる#]
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