波瀾万丈学園生活
5
そんなこんなと歩いていると、学園の玄関口(?)
みたいなのが見えてきた。
「…名残おしいですが、私の案内はここまでとさせていただきますね?」
後もう少しで玄関というところで、幹人さんが振り返って言った。
「えっ、ちょっと…!
俺、道わかんないんですけど?!」
「大丈夫です。
ここから先の案内は別の人がしてくれますから。」
というと、幹人さんはスタスタと帰っていってしまった。
え…マジで?
そんなこんなで挙動不振(?)になりながらも、俺は玄関口へと向かった。
玄関口に着くと、綺麗な人が声をかけてきた。
「すみません、緋唯野優季さんであってますか?」
「えっ…あぁ、うん」
「あぁ、良かった。
少し遅かったので心配してたんですよ。
でも、無事なようでしたので早く行きましょうか」
「あ、あぁ…」
スタスタと歩き出すその人の後ろを慌てて追いかける。
…でも、何か引っ掛かるんだよなぁ。
そう思いながら、俺はその人の乗ったエレベーターに乗った。
「大変申し遅れましたが、私、西園寺桜花といいます。
以後お見知りおきを…」
そういってフッと笑った西園寺さんに漸く俺は気づいた。
そうか…
「…顔が笑ってないんだ」
「…今、なんて言いました?」
「え?俺なんか…」
「笑顔がどうとか…」
「あ…あぁっ!
ヤバッ…声に出てたっ!?」
「で?私の笑顔がなんて?」
「いや…だからその…、作り笑いだなって」
俺がそういった瞬間、西園寺さんは物凄く驚いた顔をした。
「…初対面でそれを言われたのは2度目ですよ」
西園寺さんはそういうと、俺を引き寄せて顔を持ち上げた。
…チュッ
渇いた音が脳裏を駆ける。
今、俺…何された?
考える間もなく、西園寺は俺の服の中に手を忍ばせた。
「…こんな気持ちは久しぶりです」
「やっ…離せっ///」
と身を捩らせた時、チーンと音が鳴った。
…エレベーターが止まった音だった。
エレベーターが開く。
しかし、西園寺の手は止まらない。
俺は、必死に足掻いた。
「た…助け…」
「…何やってんだ?
桜花」
「おや?
竜胆こそ、何をしに来たんですか?」
「見りゃあわかんだろ。
エレベーターに乗りに来たんだよ。
邪魔だ空けろ」
「私にとってはあなたが邪魔何ですけど」
「知るか。
そんなの俺に関係な…」
「あのっ!すみません!
口論するなら手を退けてくれませんか?
西園寺さん!」
一瞬忘れ去られたかと思った。
俺が叫ぶと、竜胆とか呼ばれた人は蔑むような目で俺を見た。
「…ふんっ。
まだ盛ってたんだな。
桜花」
「そんな目しないでくれます?
私の可愛い優季が怯えるじゃないですか」
「「いや、可愛いって。
お前、絶対眼科行ったらどうだ(方がいいって)」」
フリーズ。
何故かって?
俺と竜胆とかいうやつの台詞が被ったからだ。
「…お前、自分のことよくわかってんだな」
「人を見下した目でこっち見ないでくれませんか?
後、男子に可愛い言う方が頭可笑しいんだよ」
俺がそういうと、二人はエレベーター内で大きく笑い声をあげた。
えっ、はっ?えっ?
何事ですか?
「気に入った。
俺は東海寺竜胆。
お前、桜花じゃなくて俺にしないか?」
「はっ、何をいってるんですか?
優季は私のものですよ」
バチバチと二人はまた言い合いを始めた。
…今度は俺を引っ張り合いながら。
お母さん…俺、もうやっていける気がしません。
この後俺は、貞操の危機に晒されながら理事長室に辿り着くのであった。
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