ページ:3 「とにかく話しかけることが大切だよな」 「そうッスね…だけどあの性格の越前は話しにくいッス」 「確かにな。だけど怯んでちゃいけねーな、いけねーよ!!」 リョーマが記憶をなくした日から一日が経って レギュラーメンバーはリョーマの家の前で緊張気味だった。 リョーマの父には昨日のうちに明日リョーマに会いに行くことは伝えていたんだが… なかなかインターホンを押すことが出来ない。 …と、その時 玄関からリョーマが出て来てこちらに走ってきた。 「皆さん来てくれたんですね!有難うございます!!早く入って下さい!」 そう言ってニコッとリョーマは微笑んだ。 「手塚…。ごめん、今の越前可愛いすぎて僕クラッときたんだけど…」 不二は半ばからかい気味に手塚を見上げてそう言った。 しかし手塚は不二以上に大ダメージをくらって動作が止まったままだった。 リョーマの笑顔なんて… そりゃあ恋人同士になったんだからたまには見るが… 俺だけに見せていた笑顔なのに… 手塚の中で素直にリョーマの笑顔を久しぶりに見れた。という嬉しさとリョーマに対する独占欲が膨れあがった。 目の前に愛する人がいるのに抱きしめることも… 触れることさえこの状況では出来ない。 全て俺のせいだ… 手塚は眉間にシワを寄せて考え込んだままの表情だった。 「部長さん!! どうしたんですか? せっかくカッコイイ顔なのにそんな顔してたら勿体ないですよ」 そんな手塚を見てリョーマは手塚の前に立ち、またニコッと笑ってそう言った。 「………」 手塚は色んな衝撃で口を開くことが出来ないでいた。 +-*-+-*-+-*- とりあえずリョーマの家に入りメンバー達は必死に話しかけた。 リョーマの前の生意気な性格や話し方などを。 「僕…そんなことしてたんですか? すいませんでした。年上の人達なのに…」 リョーマはその話しを聞いてから部員に謝った。 非常にリョーマらしくない行為で部員達は逆に戸惑いっぱなしだ。 「まぁ…でも無理せずゆっくり思い出していけばいいんじゃないかな?」 そこで大石が場の雰囲気を和ませるためにそう言った。 部員達も頷いていた。 勿論手塚も…。 今のこの状況ではそうするしかない。 それに俺は待っている リョーマが記憶を取り戻すまで…。 どれだけ時間がかかろうと俺はリョーマを想っていよう。 手塚はそう思いながらリョーマのことを見ていた。 それに礼儀正しいリョーマもなかなか可愛い。と思っていた手塚だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |