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山吹中の校舎の屋上でいつものように煙草を吹かしながら何も理由もなく煙草から出続ける煙りを眺めるだけで、亜久津は昼休みの時間をずっと立ち尽くして過ごしていた。
ここに来るのは何の理由もない。ただ屋上だと誰も来ないからだ。来ると言ったら…あのテニス部のジジイくらいだと亜久津は後ろの屋上へ繋がってる階段の扉が開く音を感じながら振り向いた。
「亜久津君、今日だけでいいから部活に来てくれないかな?」テニス部の顧問の歳のとった男性が亜久津に近づきながらいつものように優しい表情と声でそう言った。
亜久津はいつものように無視をすることを決めていたが、格好や口調からは理解されないが、もとは根が優しい性格のため今日ぐらいは振り向いて話しを聞いてやることにした。
「なんだよ、ジジイ…。俺はテニス部には入らねぇって言ってるだろ?」
「入ってくれとは言わないから…今日だけ来てくれないかね?」
「フッ……気が向いたらな」
何故今日だけそんなに来て欲しいのか分からなかったが、そんな言葉をいつものような口調で強く吐き捨て屋上から立ち去った。
それが亜久津の運命の日だった。
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