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夏祭り当日の朝。

「今日夏祭りがあるらしいわね」
手塚の母は洗い物をしながら後ろで朝食をとっている手塚に向けてそう言った。

「あぁ、そのことなんだが、今日行って来るから少し遅くなると思う」
手塚は去年行かなかったのに今年行くと言ったら母はびっくりするだろうな。
と感じながらそう呟いた。

「国光、行くの?」
その言葉を聞いた途端、手塚母は驚くどころか洗い物の手を止めて神妙な面持ちで手塚に近寄って来た。

「あ、あぁ・・・何か都合でも悪かったか?」
その態度に逆にこっちが驚いた手塚は少し焦ったような顔でそう聞いた。

「国光・・・やっと貴方にも恋人が出来たのね?!」
そしていきなり神妙な顔つきから一転、ぱっとまるで手塚母の周りに花が開いたかのように
見えるほど、嬉しそうな顔になって手塚に問い詰めてきた。

「う”・・・」
その言葉に手塚は飲みかけていた牛乳を吹き出しそうになったがそこは流石手塚。抑えた。

「ねぇ、誰なの?同じクラスの子?それとも年下?」
目をきらきらと輝かせながら手塚母は手塚に質問攻めだ。
手塚母は手塚の性格とはまったく違って、見かけによらず騒がしい人らしい。

リョーマだと言えるわけがないのだが…
しかし一応あいつは年下だ
とりあえず年下とだけ答えておこうか…。
手塚がそんなことを悩んでいるうちに手塚母は「分かった!」と言って口を開いてきた。
手塚がハテナマークを頭の上につけて手塚母の顔を見返すと驚きの答えが返ってきた。











「リョーマ君でしょ?」
手塚母はニコニコと笑ったままそう言ってきた


手塚はあまりの衝撃に手塚母を見つめたまま固まっていた。
リョーマは確かに2、3回家に連れて来たことはあったがあれはただの後輩として連れて来た。
その時にでもバレたのか?
でもどうしてバレたんだ?
俺が後輩を家に入れるのは少し不自然すぎたか?

そんなことを考えながら手塚は固まっていると手塚母がニコニコした顔で口を開いた。

「図星だねー!ということは今日はリョーマ君と夏祭りに行くのかー!いいなー!国光は母さんに似て可愛いもの好きなのねー!」

しかし手塚はあまりの衝撃でまだ手塚母に反応出来なかった。

何故リョーマが恋人なのに怒らないんだ?
普通恋人が男なら怒るだろう?

手塚の頭はパンク中だった。


「あ、でも気をつけなさいよ!あそこの神社にガラの悪い連中が集まって騒いで迷惑って近所のおばちゃんが言ってたのよ!まぁ…あなたは大丈夫だと思うけどリョーマ君可愛いから…」
手塚母がマシンガンのような早さで話しをしていると、手塚は途中で2階にある自分の部屋に駆け込んだ。





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あきゅろす。
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