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「んっ…」
朝の陽射しの眩しさに目を開けた…。
と…そこには手塚の顔があった。
リョーマは今までのことを全部思い出しながら手塚の顔を眺めていた。
部長…俺が記憶無くしても俺のこと好きだった…?
もし俺の記憶戻らなかったら…部長はどうするつもりだったんだろ…
リョーマは手塚を見ながらそんなことを思っていた。
その時 ちょうど手塚が目を覚ました。
「…っ…もう朝か?…」
手塚はリョーマを引き寄せて抱きしめながらそう囁いた
「そうッスけど…」
いちいちそんな俺のことこんなに強く抱きしめなくても…
リョーマは手塚の腕の強さにびっくりしながらも実のところを言うと嬉しい気持ちでいっぱいだった。
「良かった…。本当にリョーマなんだな…」
手塚は安堵のため息を漏らしながらリョーマの髪を撫でた。
「? 何言ってんスか…俺は俺ッスよ…?」
リョーマは手塚の胸に埋もれながらも手塚を心配そうに見上げた。
「あぁ…そうだな…」
そう言った手塚は優しく微笑んでなにもかももういいと言ったような穏やかな表情だった。
「部長…俺が記憶無くしたときどー思ったんスか?」
リョーマはこの際だから聞いてみようと思った。
「夢だと…そう信じたかったな…。」
リョーマは手塚の言う事を無言でずっと聞いていた。
「お前と過ごした時間が…無くなったようで悲しかった。だが…記憶を無くしてもまたお前は俺のことを気にかけてくれたな…」
そういえばそうだ。
記憶を無くしていて手塚が自分の恋人だと分かる前からリョーマは手塚が気になっていた。
「お前は…記憶が無くなっても俺のことを見てくれて…俺はそこで気付いたんだ。もし俺がお前のように記憶を無くしても…俺もお前と同じようにお前を愛するだろうとな…」
手塚はまた柔らかく微笑んでリョーマを見た。
その表情を直視したリョーマは顔が真っ赤になって心臓もバクバクしていた。
ずるい…部長…
そんな顔でそんな事言うとか…
「…部長さ…よくそんな恥ずかしい台詞言えるッスね…」
リョーマは恥ずかしさを紛らわすためにそう言った。
「そうか? 普通だと思うが…」
手塚は柔らかく微笑んだままそう言ってリョーマの髪を優しく撫でた。
部長…
俺やっぱあんたのこと好きだ…
リョーマはその想いを噛み締めながら手塚の胸に埋もれた。
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