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手塚は失神したままのリョーマの体を濡らしたタオルなどで拭いてやり、なるべく綺麗な状態にしてやった。

流石に人の家に来てここまではやり過ぎたな…
と手塚は軽く反省していた。





それにしても…
このまま記憶が戻らなかったらどうすればいいのだろう?
自分の理性が持たず失神する程までに抱いてしまったのもこの記憶の無いリョーマにはダメージが大きすぎる…

俺は…何をしているんだ…


怖いのだ。
初めてこんなに人を好きになってそして手に入れた。
そのリョーマが居なくなってしまうのが怖いのだ。

いつもは冷静なフリをしているが本当はリョーマのことで頭がいっぱいだ。



今までのことをリョーマが忘れたままだとしたら…
俺はまだお前に伝えてないことがある…。
いつもは"好きだ"ぐらいで恥ずかしいから終わるが…
本当は昔からずっと言いたかった…。



「愛してる…。」


手塚はベッドに横たわったまま寝ているリョーマの頬に手を置いて囁いた。

その言葉を告げた瞬間、手塚の目から涙が頬につたった。
そしてリョーマの頬にポツッと落ちる。


そこでリョーマは目が覚めたのか目を開いて驚いた表情をした。


「す、すまない…。お…」
「何泣いてるんスか? 部長」


手塚はリョーマから手を離して言葉を発した時だった。


同時にリョーマが離れていく手を掴んで自分自身の体を起き上がらせた。

「もう一回言ってよ…。」
そして顔を真っ赤にしながらもリョーマは手塚の目をしっかりと見据えてそう告げた。




待て…この生意気な口調と強気な目は…


「リョーマ…お前記憶がっ…!!」
手塚はリョーマの両肩を掴んでこちらを向かせた。
そしてリョーマの目を見る。


やはりそうだ。
この目は本当の"リョーマ"だ。

手塚はそれを確認した瞬間、リョーマを強く引き寄せ抱きしめた。

何も言わずに。
ただただ嬉しかった。
リョーマが今俺の腕の中にいる…。
それだけで俺は幸せだ。



「ねぇ、ぶちょっ、痛いってば…離してよっ…」
リョーマは手塚の背中に腕を回して軽く叩いて抵抗した。


「離さない…。もう2度と…」
手塚はリョーマの抵抗も気にせずにひたすら抱きしめたままでリョーマの髪を撫でた。


「部長…、ごめんね…。俺、記憶なくして…。でも俺…今全部思い出したッス。だから…だから…」
リョーマは抱きしめられたまま手塚を見上げて今までのことを思い出しながらそう言った。

そしてリョーマは何か言いたそうに言葉を濁した。


「いや、俺の方こそ謝らなければならない。すまなかった…。それよりどうした?何か言いたそうだが…?」

そして手塚はリョーマを安心させるために顔のあちこちに触れるだけの優しいキスを降らせた。


「だから…。もう一回言ってよ。さっきの言葉…」
リョーマは手塚が瞼に落としたキスを片目をつむって受け止めながら恥ずかしそうに小さい声で呟いた。


「ん?さっきの言葉…?」
手塚はリョーマにキスを降らせるのを一旦やめて、リョーマを見つめた。


「だからっ…俺が起きる前に部長が言った言葉…」
リョーマは恥ずかしいのか手塚の胸に埋もれながらそう言った。


「お前…起きてたのか?」
手塚はリョーマのその言葉に少し動揺した。


「…ねぇ、早く…」
そしてリョーマは手塚をねだるように見上げた。








「愛してる…。リョーマ…」





魔法のようなその言葉は二人の間に流れる空気を甘く溶かしていく。
このまま時が止まってしまうのではないかと思うくらい二人は見つめ合っていた。

そうしているうちにリョーマの顔が綻んで「俺も」と言って手塚の胸に嬉しそうな顔をしてまた埋もれた。


そしてリョーマは安心したのか寝息を立てて手塚の腕の中で眠ってしまった。


その様子を見て手塚も安心したのかリョーマをベッドに横たわらせた後、自分もリョーマの隣で眠ってしまった。








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あきゅろす。
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