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「じゃあ…俺達そろそろ帰ろうかな…」
日時は夕方になり窓を見ると夕焼けに染まった空が見えた。

そこで大石がそろそろ切り上げようと言い出した。
部員達は頷いて帰ろうとする。

「あ、部長さんは待って!!」

手塚が立ちあがって玄関に行こうとした瞬間…
リョーマの声と共に手塚のワイシャツの裾が捕まれた。


「部長さんは泊まっていって下さい!! なんか…あの…思い出せそうな気がするんです!!」

リョーマはそういって上目遣いで手塚に頼んだ。


「しかし…俺だけ…」

手塚が躊躇いがちに言葉を言いかけた。
が、リョーマによって遮られた。

「いいから!!!」
リョーマはそういって手塚をその場に無理矢理座らせた。


「じゃあ…手塚。俺達は帰るから越前を頼むよ」

大石がそう言って玄関の方に歩き出した。


「あ、あぁ。」

手塚は予想もしていなかったことに動揺していた。
そして不二が帰り際に手塚の後ろに立ってボソッと呟いた。


「手塚…。越前が記憶を思い出すきっかけは分かるよね? 早くしないと越前の記憶が無いうちに僕が… それでもいいのかい?」

不二はいつものニコニコした顔から一転、目を開き手塚の肩に手を置いて捨て台詞をはいて行った。


不二の言いたいことは分かっている。
多分 俺を急かすためにそう言って挑発しているんだ…
だが…
何も分からないこのリョーマとそういう行為をしてリョーマは記憶を思い出すのか…?

だけど…
俺の理性が持ちそうもない。


今もこうやって隣にリョーマがいるだけで抱きしめてしまいそうだ。



記憶が戻ればいいのだが…


今の状況ではどうしようもないことを手塚は朝からずっと思っていた。

そう思うしか出来なかった。






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