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First love






「…ん?…ここ…」
リョーマが目覚めるとそこは学校の医務室だった。

あ、そうだ!!
部長と…
あんなことして…

リョーマは急に思い出して顔を真っ赤にした。


「どうだ?気分は?」
突然低くて心地の良い声が聞こえて隣に手塚がいることに初めて気が付いた。


「え?あっ、大丈夫ッス」

リョーマは手塚の心配そうな顔を見てこっちが心配になった。

「そう…か? なら良かった。悪い…俺がお前に無理をさせ過ぎた…。」
手塚は急に謝ってきた。


「別に…。いいよ…。あっ、だけど部活…もう終わっちゃったッスね…」
リョーマは恥ずかしさを紛らわすために話題をふった。


「あ、あぁ。お前のせいでな」
手塚は腕を組みながらそう言った。


「え? 俺だけのせいッスか?」
リョーマは無責任なことを押し付けられて反論するべく上半身を起こした。


「お前が可愛いすぎるのが悪い。」
手塚はリョーマのおでこを指でツンと押しながらそう言った。
そしてそろそろ帰るためにラケットバッグを持とうとイスから立ち上がろうとした時だった。

急に腰に腕が回された。
リョーマが背中に抱き着いていたのだ。
「もう何処にも行かないッスよね?」
リョーマは手塚の背中に顔をくっつけてそう呟く。


「あぁ、当たり前だ」
手塚は柔らかく笑ったあと、リョーマの方を振り返った。


「それに部長、"もう二度と離さない"って言ったしね?」
リョーマは小猫のような可愛いさで手塚を見上げてそう言った。


「お前…あの時起きてたのか?」
手塚は珍しくびっくりした様子だ。そしてリョーマの肩を掴もうとしたが手塚の手は空を掴んだ。

リョーマはもう壁にかけてあるラケットバッグを持って医務室から出ようとしていたところだった。

「二度と離さないんでしょ? もう離してどうするんスか?部長」
リョーマは手塚の方に振り向いて手塚を見据えた。


これから先が思いやられるな…

手塚はフッと軽く笑ってリョーマを後ろから抱きしめた。




彼らの初めての恋はこうしてようやく実を結んだのだ。








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あきゅろす。
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