Creep rain
「僕ね、越前と付き合ってるんだ。」
不二が部活に行く前に告げたその言葉は手塚の胸に突き刺さる。
心に鉛が落とされる。
ひとつ…またひとつと落ちていき落ちたままの気持ちはどうしようもない。
そうだ…。
まだ越前には聞いていなかった…。
誰か付き合ってる人がいるのかどうか。
それなのに俺は…
毎日一緒に帰れるだけで嬉しくて…
いや、一緒に帰っていたのもリョーマは本当は嫌だったのではないか…?
手塚は誰もいない教室で一人頭を抱えていた。
窓に目をやるとテニス部の部室が見える。
もう練習が開始しているらしい。
そこにはリョーマが不二と話しをしている姿が見えた。
「リョーマ…」
手塚は窓に目をやっていつもは呼ぶことの無い名前で熱っぽく囁いた。
届かない思いを胸に…。
……………*-+-*-+-*-+-
一方リョーマはなかなか部活に現れない手塚が気になっていた。
「今日手塚…来ないかもね…」不二がリョーマの隣で悲しそうに呟いた。
「え?何でッスか?」
リョーマはその言葉にびっくりして不二に聞き返した。
「何となくだよ。何となく」
不二はクスッといつものように笑ってコートに入っていった。
(変な人…)
リョーマはそう思いながらコートに入ろうとした。
しかしこうしている間にもまだ部活に来ない手塚が気になった。
昨日も一緒に帰ってまた明日と言っていたのに…
「部長…」
リョーマは手塚を思いながら空を見上げて呟いた。
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