He is consious too….
「はぁー…」
リョーマはお風呂に入りながら深いため息をついた。
手塚と一緒に歩けたことや話しを出来たことなど…
凄く嬉しかった。
だけど自分が何故あんな風な行動をしたのか理由が分からなかったのだ。
だからため息をついていた。
何で俺あの時"おごって"
なんて言ったんだろ…
リョーマはお風呂の湯舟に顔を埋めながら手塚との出来事を思い出していた。
部長、俺のこと気遣かってファーストフード店に一人で行ってくれた…。
あと頬についたソース…
リョーマは景色が綺麗な丘で手塚がリョーマについたソースを指で拭ってくれた時を思い出して急に恥ずかしくなった。
あの時顔が凄い近付いて…
…でもあの時、部長は何を言いたかったのだろう…
リョーマはそんなことをずっとお風呂の中で考えていたら急に視界がぼやけてきた。
リョーマはのぼせて気を失ってしまったのだ。
そしてリョーマの入浴時間が普段より長いなと心配になった奈々子が覗きにきてその姿を発見する。
「……さん…リョーマさん!」
奈々子の声でリョーマは目を覚ました。
「…え? 俺…何で…」
目が覚めたリョーマは混乱していた。
お風呂に入っていたはずだったのに今自分は寝ていて、心配そうに覗きこんでくる奈々子の顔があったからだ。
「リョーマさん、お風呂でのぼせて倒れてたのよ」
奈々子はリョーマのおでこに冷やしたタオルを置いて心配そうにリョーマを覗き込む。
「あ、…そっか…」
そしてリョーマは現状を理解したようで奈々子の顔を安心して見返す。
「でもリョーマさん、目を覚ますまで凄い寝言言ってましたよ」
奈々子はリョーマの顔を覗き込みながら楽しそうに微笑んだ。
「何それ?なんて言ってたの?」
「ふふふ…それはね…」
奈々子は勿体振ってなかなか言わなかった。
「ねぇ、何なの?」
リョーマは気になって奈々子に急かすように目で訴える。
「"部長…好き…。"そう言ってたよ、リョーマさん」
奈々子はリョーマの耳元で囁き今度は軽く笑いだした。
「っ……!!? いや…俺絶対言ってない…」
リョーマは一瞬びっくりした顔になったがすぐに冷静を装った。
だけど奈々子には見え見えのようだが…。
「いいのよ。恥ずかしがらなくて!私前からなんとなく分かってたの、リョーマさんは手塚部長のことが好きなんだなーって。」
「意味分かんない、俺…もう寝る。」
リョーマはおでこに置いてあったタオルを奈々子に無理矢理押し付けて自分の部屋に帰っていった。
何で…何でこんなに部長のことが気になるんだろ…。
リョーマは自分の部屋のベッドに包まって自分のこのモヤモヤした気持ちが分からないもどかしさに涙を流していた。
「部長っ…」
リョーマは泣きながらその名前を口にしてしまう。
今一番無性に会いたいのは他の誰でもない手塚だった。
もっと一緒に居たい…
もっと部長と話したい…
"好き…"
俺…部長のことが好きなんだ…
リョーマは奈々子さんから聞いたことや自分の中で自問自答する…そしてようやく自分で自覚し、認めた。
リョーマは手塚のことが好きなのだ。
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