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日常編?
因縁はやっぱり続く?
「おっ邪魔っしまーっす!」

 ハイテンションで職員室の扉を開けたのはボンゴレ特待生2年のロンシャン。
 「失礼しますでしょ?」とルッスーリアが注意するがアッサリ無視し、何処だ何処だと誰かを探している。
 セコーンドはその一部始終を横目で見て、授業の準備をしようと立ち上がる。
 するとロンシャンの口から「あー!」と歓喜の雄叫びが上がった。

「セコーンド先生みーっけ!」
「…──何の用だ」

 この子供。いや、この生徒と言うべきだ。
 かつて、彼の親とは…──あまり所か全く仲が良くなかった。今でこそ、この学校に預けてくれているが、昔ならば有り得なかっただろう。いや、実際、今でも仲が良いとは正直言えない。
 それでもこの学園に入学させているのは、多分防御が上手く行き届いているから。
 ロンシャンは室内を縫って入り込んで、セコーンドの前にやって来て開口一番。

「ウチの親父と殺りあったってマジッすか?」

 流石に、驚いた。
 ねぇねぇ、と返答をせがんでくるロンシャンの更に後ろは唖然としているが、空気を読まない男…──否、オカマが一匹。

「んまぁ! それ本当なの、セコーンド先生っ!」

 ロンシャンの様に寄ってきて。

「狡いわぁ! 私だって筋肉見たい! じゃなかった! 戦ってみたいのにぃ!」
「先に本音が出るところが流石だな」

 ロンシャンの頭を強引に下げさせて、ルッスーリアには回し蹴りをお見舞いする。壁に激突して壁にめり込むと、「素敵な蹴り」と語尾にハートマークがついた。
 ロンシャンは緊張感なく、ヒュウ、と口笛。仮にも頭上を蹴りが通ったのだが、流石は奴の息子、とだけ言っておく。

「その話は事実だ。これから授業がある。じゃあ…──」
「すげぇー! 職員室にいる先生の皆さん、聞いてー! オレの親父、セコーンド先生と戦ったこと有るんだってー! ひゃっほーい!!」
「おい! 一々騒ぐことじゃな…──」
「ついでに2年のみんなにも報告して…──」
「待て、ロンシャン!」

 ぴゅーっと職員室から出ていこうとしているロンシャンの首根っこを掴もうとして失敗する。職員室を抜けられ、靴を足元に滑り込ませると飛んでかわされる…──が、漸く着地の際に後ろに流れていた腕を掴んで捕獲する。
 ロンシャンは「あり?」と首を傾げた。

「何ぃー、先生?」
「言いふらすな」
「何でー?」
「言いふらして良いような内容じゃないだろう。お前には入学当時にマフィアに関係する事柄を伏せて生活することを義務付けた」
「あれ? そうだっけ?」

 そうだ、と言い切ると、ロンシャンはぶーぶーと唇を尖らせた。

「じゃあ、こんなビッグニュースどうするんですかー?」
「ビッグニュースでも何でもない。ただの過去だ。黙っていろ。若しくは身内にだけ話しておけ」

 すると、ロンシャンは「そうだー」と何かを閃いた。

「身内と言えば〜。この前親父と飲んでたらさ、「次いでにセコーンドの弱味に探り入れておけ」って言われてさー! 先生の弱味って何々ー?」

 それを直接聞いてくるか。
 大変な正直者を息子に持ったもんだなロイ。そして、飲んでいたとなると酒か? 飲み物次第では貴様諸共警察にしょっぴいてもらうぞ。
 ふぅ、と溜め息を吐いて、ロンシャンを放し、見下ろす。

「子供だ」

 ただし、沢田綱吉と秀忠の二人のみ。リボーンは大人だ。
 そう言った瞬間に、びゅん、とロンシャン目がけて拳を叩き落とす。
 が、頭を直撃するはずだった拳はさらりと抜けて、空振った。

「ビッグニュース、ビッグニュース!」

 ロンシャンはセコーンドの脇を抜けてまたも大声で叫んだ。

「セコーンド先生って子供に…──」
「待て!」

 掌に光球を集めて、足に『当たる』ように放つ。

「わっちち!」

 ロンシャンは逆立ちするようにわし、光球はバキィンと床にめり込み消えた。
 更に、床についてる腕を目掛けて足を払うが、ロンシャンはまたぴょんと跳び跳ねて着地する。
 その間、一秒あるか無いか。
 ロンシャンは見事に着地して両腕を上げる。まるで体操で選手が演技を終わらせた後のように。
 丁度、通りかかっていた生徒が唖然としている。

 流石は、ロイの息子。

 否、『ロンシャン』の名を継いだ人間。

 老いたとはいえ、まだ若い者には負けない自信はある。実戦経験を積んでいない学生となれば尚更だ。
 風とは手を合わせたことはないが、体術上級位のコロネロだって攻撃すれば『必ず当たる』。
 しかし、それを呼吸するようにヒラリヒラリとかわす。
 彼は体術が出来るかと言えば出来ない方だ。基本体力があって、更に柔軟性が突出しているぐらい。
 しかし、『ロンシャン』の家系は『反射神経』が凡人より発達しているのだ。
 鍛えているわけでない。
 生まれ持った天賦の才なのだ。

 これが、セコーンドと彼の父親ロイとの私闘が長引いた原因。


「あっぶねー、あっぶねー」


『攻撃が当たらない』。


 ロンシャンはぱんぱんと尻を払って、唇を尖らせる。

「先生ってば、大人に容赦なーい!」
「(お前は特にな)当たり前だ。更に言えば、大人ならばあまり何でも言いふらすものではない。時には口を慎め…──お前の父のようにな」

 「えー?」と、此処はやはり子供。この年でもここまで素直な奴はいないが、コレばかりは感謝する。

「親父、セコーンド先生のことなら何でも言いふらしていいって言ってたけど。特にフラれた女の話…──」
「言ったら退学にするからな」
「えー! 容赦なーい!」
「特に、お前が話していたと聞いた時には直ぐにだ。父親にも伝えておけ」

 分かったー、と答えて、ロンシャンは、また「あ」と思い出す。


「オレの母さん元気だよ」


 ケロッとした顔で、ロンシャンはそう言った。

「…──そうか」

 何処か面影のある目元に、彼の母親を思い浮かべる。硬質な毛は父親だが、色は母親譲り。
 はっと我に返って、こちらを見ている生徒たちにガンをくれると蜘蛛の子散らすようにこの場を放れて行った。
 ロンシャンはぼーっとセコーンドを見上げて「あー」と呟く。

「母さんのこと話すと本当に大人しくなったー…」

 ぴくり、と青筋が浮かんだ。

「親父がさ、セコーンド先生に何かされたら母さんのこと言えば良いって。何でだろ?」

 くいっと首を傾ぐロンシャン。
 グッと握り拳に力が入る。
 直ぐに暴露しない辺りを見ると、礼儀を持って伏せてくれたようだが…──腹立たしいことに変わりはない!

「ねぇねぇ。そこん所どうなのー?」


 誰が言うか!


「ロンシャン。放課後に職員室へ来い!」

 そう言いながら、頭をわし掴む気で放った手は空を切り、床をめり込ませた。
 またロンシャンはヒラリとかわし「わかりましたー」とヤル気ない一言を放って。

「じゃあ、母さんにはバリバリ元気ですって伝えときまーす」
「い、一々伝えなくていいっ!」
「だってー、母さんもセコーンド先生元気かってコッソリ見てきてちょうだいってさー」

 ぐ、と詰まる。
 コッソリと言った癖に暴露している。それ云々ではないが、動きが止まる。

「教師壁にめり込ましたり床穴開けるぐらい元気だって伝えときまーす」
「言うな!!」

 「えー!」とロンシャンはハイテンションで肩をすくませた。

「じゃあ、何て伝えたらいいんですかー? あれぐらいの方が元気にやってるのがパワフルで伝わるじゃーん!」

 くそっ! ロイめ!

「それに関しては!」
「関してはー?」

 覗きこんでくるロンシャンから顔をそらし、ごほんと咳き込む。
 そして、瞬時に冷静になった頭で出だ回答は。


「放課後に手紙をくれてやる。私の様子、貴様の普段の学校の様子も含めてな」
「えー! ちょ、それ勘弁してくださいよー! セコーンド先生!」

 ロンシャンは「お願いします!」と頭を下げた。
 セコーンドは勝ち誇った気分で「分かった」と答えた。そのあと、幾ばくか注意(というか、説教)をしていると、授業を告げる鐘がなった。物足りなさを感じながら、本日、放課後に注意の喚起(という名の説教)は持ち越しになるのだった。


〇解説〇


 お金積まれちゃったから仕方ないね。セコーンドの説明は僕、マーモンがするよ。まぁ、良い額だったからしっかり美味しい話までしてあげるね。

 彼はセッタン・テンポ学園設立当時からいる教師だ。
 ごついけど、これでもジョットの弟らしいよ。どんな遺伝子の奇跡があってあんな体格さが生まれたんだろうね、謎。
 堅物でキレ者。怠け者のジョットとは正直大違い。生真面目な所がたまにキズ。これで恋愛も失敗してるんだよ。それは追々話そう。
 で、戦闘タイプは接近戦超攻撃、広域破壊型。
 殲滅は結構殺しちゃうけど、破壊はあんまり死なないんだよ。このタイプはナックルも似てるんだけど…──まぁ、ナックルの方が最悪だね。それは担当の奴に任せるよ。

 ロンシャンの父親とか母親は、管理人の妄想設定で生まれただけだよ。
 原作では2代目とロンシャンが対立してるだろ? それを取って若い頃は対立し合ってたって設定だ。
 む? 設定、設定言うなって? 知ったこっちゃないね。
 因みに、ロンシャンの父親の名前はロイ。母はオリビア。
 で、話が最初の方に戻るんだけど、大体は気づいてるだろ?
 強面で生真面目すぎて、初恋相手をロンシャンの父親、ロイに取られちゃったんだ。もともと、ロイの方が女性の扱いが上手かったのもあって口説き落としちゃったんだ。
 これは、セコーンドとロイの長年続いた因縁対決に終止符を打った要因にもなったんだ。セコーンドに初黒星って形の悔い残る幕引きをね。
 ロンシャンも父親の血を受け継いで女の子ナンパしまくってるんだよ。ただ、父親と違って美的センスが無さすぎるのが面白い所かな。
 にしても、ロイソックリな性格でちょっと母親の名残がある、現ロンシャンはセコーンドにとってどんな子供なんだろうねぇ?
 にっくき男は初恋相手の夫、なんて、ハリー・ポッターのパクりとか言っちゃダメだよ。管理人はこれでも『名案だ!』って張り切って仕上げちゃったんだから。

 あ、ロンシャンを放課後呼び出したセコーンドは、オリビア宛てに恋文じみた手紙を出したみたいだよ。
 生涯オリビアしか愛さないと決めたなのは良いけどストーカーの真似だけはしないでくれと願うばかりだよ。

 そうだ。ロンシャンの家系の補足説明をしておくよ。
 『ロンシャン』の名は代々トマゾファミリーの当主が引き継ぐ名前なんだけど、実はロイよりお馬鹿な現ロンシャン(今、学園に通ってる息子ね)は三代目。初代ばりに身のこなしが良いんだ。
 代々、反射神経が良いのは説明してるよね? それがロンシャンは父親よりも優れているんだ。更に危機回避能力も突出している。なまじ超直感と似通っているけれど、適応されるのは『身に及ぶ危険』だけ。超直感は危険、人間の関係性などなど多岐に渡るからそこは間違えないでね。
 雲雀と同じボンゴレ特待二年生でありながら、彼だけは雲雀と戦う前に確実に逃げ出しているんだ。
 ロンシャンもそんな事実には気づいてないけど、雲雀もそれに気付いてないんだ。面白いだろ?


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