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日常編?
捜索、継続
〇〇〇


辿り着いた3012室は。

「あ、先輩方! おはよっす!」

満面の笑みでスカル達を迎え入れる六道骸。


「おはよーございますー。さっきぶりですねー」

無表情で迎えるコロネロ。


「や☆ 一昨日ぶり♪」

こちらも見たことのない満面の笑みで迎えた雲雀恭弥。
更に。


「おはようございます」

と、白蘭は手持ちのカードを2ペアを投げた。
その他にも数名、見知らぬ生徒達がカードゲームに勤しんでいる。

「雲雀ん中にいるの…白蘭か?」
「ピンポーン! 正解☆ ほら、骸クン。僕にカード引かせてよ」

骸、と声をかけた白蘭へ手を伸ばす。はいはい、と白蘭は普段の顔にあわず無表情で差し出した。

「ちょっとぉ! 僕の顔なんだからもっと笑いなよ、似合わなーい!」
「では、貴方は雲雀恭弥の顔で、その口調と笑みをお止めなさい。気色悪いことこの上ありません」
「ミーも大賛成ですー。クロは仏頂面しか生理的に受け付けませーん。あ、やったー」

ほい、とフランはカードの海に手持ちのカードをぶちまける。

「あっがりー」
「また抜けたの?!」
「ミー今の所、トランプゲーム無敗ですからー」

ほい、とフランは胡座から寝そべって足をバタバタとさせる。フランがやれば、それ相応に見えるが、コロネロがやると違和感だらけでしかない。

「……そうか」
「リボーン?」


何となく、分かった。


「原因テメェか、白蘭」
「ん。まーねぇ…―――あ。ジョーカー引いちゃったぁ」
「マジか。引かないようにしないと…オレさっきから負けてばっかだしなー」

そう言った骸は雲雀の手札を睨んだ。

「おい、白蘭。だったらハリネズミは…―――」

すると、モゾモゾと雲雀の頭の中からハリネズミが顔を覗かせた。
頭をふるふると振って、こちらをみやる。

「ツナ!」
「うーうん。マーモンが違うって言ってたよ。流石だよねぇ。どっか探しに行っちゃった」
「はぁ?!」

驚きに声を裏返して揃える。
そして、フランが「どういう事だぁ!」と雲雀へ掴みかかった。

「テメェ! ツナ何処にやったんだ、コラ?!」
「えー。知らないよぉ。だって、僕は入れ換えたら『面白そう』な人としか入れ換えてないし。
 現に見てみてよ。君達は互いに入れ替わってるけど、僕らは『ランダム』でしょ?」

確かに、入れ替わっている連中は親い間柄でありながら互いに入っている訳では無いようだ。
雲雀に白蘭、白蘭に骸、骸に山本が入っているように見受けられる。

「リボーンにスカルを入れたのはリボーンが泣いてたら楽しそうだと思って」
「ざっけんな!」
「コロネロ! 駄目です!」

ヴェルデの呼び止めも虚しく、雲雀に掴みかかろうとしたフランはぐるん、と空を半回転して部屋に捩じ伏せられてしまった。
トランプが空中に舞い散らばる。

「僕の身体は『雲雀』チャン。君は『フラン』クンだ…―――体術じゃ勝てるわけないでしょ?」
「こんのクソっ! 降りろ、コラ!」

トランプがバラバラと床に落ちていく。ソレを浴びながら、雲雀はにやりと笑った。

「降りて、僕が危なくないって言うなら降りるけど?」
「このっ…!」
「おー。抑えとけ抑えとけ。暴れだしたら敵わねぇ」

手をヒラヒラさせて雲雀である白蘭にフランを抑えるように促す。更に、身体の持ち主であるコロネロの中のフランさえ、ガッツリ親指を立ててグッジョブと訴える。

「骨が折れないなら抑え付けといても良いですよー」
「んじゃ、体の持ち主からも許可貰ったし…お構い無く」
「馬鹿野郎! 許可すんっ―――だーだだだだだっ!」
「あー。でも、痛さ訴える声が煩いのは調整しろ。フランでも煩いのは敵わねぇ」
「リボーン……」

この野郎と喚いたフランに、にやりと笑ってやる。スカルの面だから余計腹立つだろう。案の定、本来のフランからは感じられない殺気が滲み出てきた。
そこへ、まぁまぁと骸は押さえつけている雲雀を骸が止めた。

「コロネロ先輩ってダチ想いな所があるから、やっぱりそう言われるのは怒るのな。
 オレも、そう言われるとムッとするのな」
「絶対に見られない絵面ですね」

雲雀を抑える骸に、白蘭はそう言い放った。雲雀と骸は犬猿の仲だ。骸自身が本気で思っているのだろう。

「わざと煽ったんだけど?」
「んー。それじゃ、謝ろっか?」
「いーじゃん、別に。っていうかさー」

雲雀は睨み上げたままのフランを見下ろして、けらりと笑った。


「まるで、『見たことがある』みたいじゃない?」


ざぁ、と。
フランの怒気が強まった。

「このゃ…―――」

ぱぁん。

銃声を響かせ、意識を削ぐ。
すると、コロネロが「あー」と言って天井に指差す。

「穴開けましたねー。後で先生達に言いつけてやるー」
「空気穴開けてやったんだ。感謝しろ」
「うわー。コロネ先輩の怒り鎮めるにも苦し紛れの言い訳でしょー」
「苦し紛れじゃねぇよ」

ケラケラと笑いながら、スカルは腰のホルスターに銃を収める。

「怒り鎮めるのは当然として、部屋に風穴開けたことは1ミクロン足りとも罪悪感ねぇからな」
「骨先輩。それを人は最悪って呼ぶんですよー? 知ってますかー?」
「つーか、白蘭。此処じゃないならツナは何処だ」

スルーですか、とコロネロがぼやく。
そーれじゃ、と雲雀は立ち上がってフランを解放した。

「ハリネズミが彼の中に居て、ハリネズミを探しに来たって言うことは―――秀忠クンの身体は雲雀チャンの所に居るんだね?」
「そうだが…―――」
「それじゃ! 会いに行ってこよ―――」

雲雀の両腕をリボーンとヴェルデがガッチリ挟んで拘束する。

「その前に、ちょっくら色々聞かせろよ?」
「そうですねぇ。今回の集団の意識入れ替わり事件の急速解決のためにも」
「ほっとけば元に戻るよー?」
「待ってられるかよ。さっさと戻せっての」

睨み付けて腕を放さない2人に、白蘭は「えー」っとぼやく。

「じゃあじゃあ、僕の質問に答えてくれたらヒントぐらいは」
「答えられる奴なら答えてやんよ」

ケラリと笑うスカルに、ニコニコと笑う雲雀。
じゃあさ、と、雲雀は続けて。


「リボーンが泣いた時の話、聞かせてよ」


ざわっと、再び上がったフランの怒気を受け流す。
仲間達が一様にこちらを向き、生徒達は目を瞬かせる。
そう言えば、こんな事もあったなと、懐かしさを覚えた。

「泣いたことなんて『いっぱい』有んぞー」

驚きと疑問の混じったような表情を誰もが滲ませた。
特に問い掛けたはずの白蘭である雲雀はきょとんとなっていた。

「なぁ、コロネロ。ブロンドのウェーブ掛かった女を助け―――」
「ちょぉおおい! 待った、コラ! ソレをここで暴露すんのか、コラぁあああ!」
「だって、聞きたいって言ってるじゃねぇか。気にすんなよ。昔の青臭い思い出じゃねぇか」
「嫌だっつったら嫌だ! 絶対喋んな、コラっ!」

しゃあねぇな、とリボーンを見る。自分のイケメン面が青くなったが、まぁ良いか。

「スカルの前では茶髪のポニーテールの女で―――」
「オレだから良さそうみたいに言うなってぇ! プライバシーの侵害だ! 男心踏みにじりやがってー!」

ポカポカと殴り付けてきた我が身体を軽くあしらう。ちょっと泣きそうな顔になっている奴の頭をぶん殴り、床へ鎮める。
ぷしゅう、と煙立ち上るタンコブを作り、にやりと笑う。

「泣こうと思えばいくらでも泣けるぞ?
 ぶっちければ、そこら辺の俳優より上だぜ?
 そうだ。何なら風で試した時の話をしてやろうか?」
「え? 私の時ですか?」
「是非とも、お聞かせいただけますかね?」

今までずっと黙っていた白蘭が、ニコニコと割って入ってきた。中は骸だ。
骸は風をそんなに気に入っていなかったのを思い出す。弱味でも、掴みたいのだろうか。
すると、ヴェルデはぽっと顔を赤くして頬に手を当てた。

「やめて下さいよ、恥ずかしいですから!」
「うっわ。ヴェルデの顔で照れるな気色悪い」
「尚、聞きたいですねぇ。お聞かせいただけませんか? 僕はとても興味があります」

ニコニコと笑っている白蘭に、ヴェルデからは良いんじゃないですか、と呟いた。

「まぁ、この話はオレの変装遊び失敗談だぞ」
「は?」
「テメェには勝てねぇよ」
「そんなことはありませんよ」

スカルとヴェルデは互いに笑いあって周りを見回す。何々、と興味の沸いたらしい雲雀は目をキラキラと輝かせながらフランから降りてきた。
雲雀だってこんな面をすれば可愛い後輩に見えるのに。
聞かせてくださーい、と手を上げるフランに、少しだけ期待外れのような面持ちをした白蘭。

プライバシーも糞もなく、スカルは語り始める。
その時は、黒のロングストレートヘアーで、と身形から説明から始めた。

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あきゅろす。
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