[携帯モード] [URL送信]

日常編?

○○○


再びライフルにエネルギーを込めようとした途端、ぷるるる、と着信音が鳴り響いた。
取り出してみればリボーンからだ。ライフルを肩に担いで、携帯電話を慌てて耳に当てた。

「ツナ見付かったのか?! コラ!!」
『ハッキングで負けたそうだ』
「…何だそんな事かよ、コラ」

怒ったようなスカルの声が聞こえて来たが、ハッキングなど自分が分かる領域ではない。

「で、何だコラ。こっちはドアぶち破るのに忙しいんだぞ、コラ」
『あん? テメェ、ドアぶち破るのにどれだけ苦労してんだ』
「だったらリボーンも来てみろ、コラ! 何か、魔法みたいなバリアー張られてさっきからいくら攻撃してもドア破れねぇんだよ、コラ!」
『だったら壁ぶち抜きゃあ、良いだろ』
「いや、それやったら流石に弁償だろ、コラ。こっちはテメェと違ってボンボンじゃねぇんだ。立て替える金なんてねぇんだよ、コラ」

あっそ、と呆れたような呟きが聞こえて来た。
だからと言って、ドアをぶち破れば弁償になるとは思いつかないらしい。
携帯電話を握り締めて、腹立たしさで言葉を詰まらせていると、スカルがリボーンに変わるように要請してきた。

『バリアーだかなんだか分からないけど、学校のブレーカー落として来てくれねぇ?』
「はぁ? 何でそんな事すんだ、コラ」
『多分だけど、そうすればそのバリアーも外れると思う。大体の動力源が電気のはず…―――』
「それマジか、コラ!」

デイモンを殴ると言う目的を達成するべき活路を見出して、目が輝く。

「何処にあるんだ、コラ!?」
『ゴミ捨て場あるだろ? あそこの左側に宿直室って書いてあるドア。開けると地下に続いてるんだ。地下の地図は今から携帯に送るから、ブレーカー下ろす前にまた連絡して』

へぇ、と初めて知った事実に頷く。それじゃ、と通話が切られると、すぐにメールが届く。
開こうとした矢先、センパーイと駆けてくる黒い髪の生徒。手を振っている彼の後ろ、パステルグリーンのヘアーを肩まで下ろした少年もこちらに寄って来た。

「えっと…誰だお前等? コラ?」

知り合いだっただろうか、と首を傾げていると、初めまして、と緑髪の少年は言い放った。

「ミーはフランです。で、こっちが」
「山本武って言います。オレ達ボンゴレの2学年…なのはピン見れば分かるっすよね」

山本武と名乗った少年は爽やかに笑って話を切り返した。

「先輩も、職員室に用事有るんすか?」
「そうだ。デイモンぶん殴りに来たんだ、コラ」
「あのフレッシュパイナップルに何かされたんですかー?」
「フレッシュ…!」

新しい表現に口が釣り上がって仕方ない。

「お前、面白れぇ奴だな、コラ!」
「違いますよー。あのパイナップル教師の存在自体が爆笑の元凶なんですー。ミーはありのままの事実を淀みなく素直に言ってるだけですー」

あ、と言ってフランは人差し指を立てて、少し眉を寄せた。

「コレ言ったの秘密ですよ? 言ったら『パイナップル☆マジック』で社会科の成績1にされちゃいますからー」

さも当然のように、あのデイモンをパイナップル呼ばわりしたフランの肩をバシバシ叩く。
フランは痛いですーと感情を込めずに放った。

「ところで、先ほども聞きましたけどパイナップル先生に何されたんですかー?」
「あぁ、そうだったぜ、コラ!」

ついフレッシュなんて単語を付けて表現するものだったから大事な用事を忘れていた。

「あの野郎! 講堂にアルコバレーノの特待生まで召集かけやがったんだ、コラ!」
「えー? この暴力イベントって特待生は教室待機ですよね、普通」
「そうだ! 初めてのイベントだし、どんな事やるか分からねぇの良い事に呼び出しやがって! コラ!」
「流石スプラッタパインですね。甘い汁に浸かってそのまま缶の中に蹲ってれば良いのにー」

フランの巧みな表現に楽しんでついつい頷いていたが、やはりこの中には教師が居るようだ。バリアーが張ってある以上は誰か居るのは確実だと思っていたが、デイモンが居ることだけははっきりとした。
職員室から放たれる怒気が濃くなったからだ。パイナップルと言われて怒りを抑えきれていない証である。

「そうだ。だったらミー達もナッポー先生を殴るお手伝いしますー」
「それは助かるぜ、コラ!」
「だったら、場所移しましょー。今回、監視カメラ音声もキャッチできるみたいなんでー」
「マジか? コラ」

マジですー、と言って、フランと共に顔を上げる。職員室の出入口にもセットされている監視カメラを見やった。
そこで、コロネロはとても大事なことに気が付いた。

「だったら、今までの会話バッチリ聞かれてるじゃねーか、コラ!」
「あぁ、そうですねー」

珍しく気付いたコロネロの意見だったが、フランは何でもないようにその事実を認めた。
後ろでずっと話を聞いていた山本は苦笑しながら頭の後ろに手を組むのだった。


〇〇〇


よし、と連絡を終えたスカルはリボーンに携帯電話を返した。

「それじゃ、リボーンにもやってもらうことがあるから、待ってろよ」
「はぁ? 何しろってんだ?」
「あいつらのパソに鉛玉ぶち込んでやる」
「それ壊れるだろ」
「鉛中毒って知ってるか?」
「馬鹿にしてんのか、テメェ」

拳銃を扱う人間にその質問は愚問以外の何物でもない。
鉛による中毒の事で慢性や急性と症状は別れる。急性のものであれば死亡することがある。危険性が大きい中毒だが、機械相手にいくら銃弾をぶちこんでも壊れるだけで中毒のようなものが引き起こせるわけではない。

しかし、揶揄だとしたら。

「詳しく言いやがれ、パシリ」

そんなスカルの頭を、両手の骨張っている部分でぐりぐりと動かす。いだだだ、と悲鳴を上げるスカルをもう少し傷め付けてやろうかと思ったが、時間が無いんだってという言葉に時計をみやった。

時刻は11時を越えていた。

「偉そうなこと言って、すみません! 詳しくお話ししますから、手伝って下さい! リボーン様!」
「おぅ。よく分かってるじゃねぇか」

そう下手に出たスカルに、リボーンは満足気にその拳を離した。
そして、彼は立ち上げたばかりのノートパソコンに向き合うと、再びキーボードを叩き始めた。

またその後ろ姿を見て。
リボーンはやっぱり思ってしまった。


「ネット廃人みてぇだな」

今まで飲み込んでいた言葉が、ついに飛び出してした。

「ま、まだ廃人じゃねぇよ!」

振り返りながら手を止めたスカルに、リボーンはにゅるんと銃に姿を変えたレオンで頭を小突いた。

「みてぇだっつったんだよ、気にしてねぇで手ぇ動かせや」
「はいっ! すみませんでしたぁあ!」

叫ぶスカルを再び小突けば、こちらを向いて土下座した。だから、と言って手の動きを止めたスカルを蹴り飛ばす。


「さっさとやれって言ってんだろーが」
「わっかりましたーぁあっ!」

そう叫んで、スカルは再びパソコンと向き合うのだった。



『奮闘する生徒達』END

[*前へ][次へ#]

11/43ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!