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日常編?
奮闘する生徒達
「おい、パイナップル頭! 出てきて一発殴らせろってんだ、コラ!」

デイモン殴り込み班、班長(班員が0名の為仕方なく)コロネロはドアを叩くのをやめると喜々とした笑み浮かべてこう言った。

「出ねぇな! コラ!」

先程から5分程叩き続けているが返事はない。寧ろ、中には誰にも居ないんじゃないだろうかと疑わしくなるぐらい静かだった。
しかし、ここで先生が数名立てこもってイベントの監視や集計を行っているとスカルは言っていた。
スカルから入手できる学校事情は、信用できるとリボーンも言っている。

出てこないならば仕方ないとコロネロは決断を下す。寧ろ、昔から穏便に済ますと言う風のような手段は上手に出来た試しはない。穏やかな風のようにコロネロは上手く立ちまわれないからだ。

あれからマーモンを探しに行ったヴェルデはそのまま連絡はない。
綱吉捜索は風が請け負う事になった。
そして、そのサポート役としてスカルが位置情報を風へ通達する為、一時自室へ戻っている。それにリボーンも同伴した。普段ならこっちについてくるが、今回は綱吉が絡んでいるから一刻も早く見つけ出したいのだろう。ツンデレな兄を持った綱吉は少し大変だと思うコロネロだった。

「よし! オレは5分我慢したぜ、コラ!」

コロネロは肩に下げていたライフルを構える。そこへ自らのエネルギーを溜めて、ドアへと狙いを定めた。集束してきたエネルギーは周りの風景よりも明るさを帯び、銃口から零れ出る。

「後悔しても遅いぜ、コラ!」

コロネロはそう声を張り上げて、何ら躊躇いなく引き金を引いた。

「SHOT!!」

「どかぁん!」と大爆音で放たれたエネルギー波は目の前の木で出来たドアに放たれた―――筈だった。
しかし銃口から放たれた青きエネルギー波はその場に暫く停滞すると小さくなって、真っ二つに割れた。そして、見えない壁に阻まれたかのように弾かれ、両側へ飛んで行った。どかん、どかん、と2発。左右から聞こえて爆風を巻き起こした。

「なっ?!」

コロネロは傷1つ付かなかったドアに目を見開いた。

○○○


擦れ違い様に出逢った生徒達を昏倒させながら綱吉&秀忠捜索係の風は花園へ向かっていた。勿論、チョコレートは奪わずに。
自分のチョコレートはあれば十分だ。奪い取る必要はない。

風は綱吉が心当たりがあると探した花園と屋上に的を絞った。見つからなかったならば、どちらかの場所で電話をかける筈だと予想したからだ。

怒っていたとはいえ、マーモンでも森の中に放置するほど非道な真似はしない筈。せいぜい、学校から一番遠い所に置いて行くのではないだろうかと、学校から一番遠い花園へ向かっていた。

色とりどりの花が咲き誇る花園。
地面には赤レンガが敷き詰められていて、中心には豪華にも噴水がある。
もし、マーモン以外に女子生徒がいれば校内のデートスポットになっていただろう。
この土地には水脈が合ってそこからこの学園全体に水を引いている。そして、その近くにこの花園を建設したそうだ。だから学校から離れているという。
そして摩訶不思議な事に、咲く季節がバラバラの花が春夏秋冬、思い思いに咲いている。
栄養が奪われて枯れてしまうという現象は起きないし、雑草も碌に生えないという。

この学園は不思議な土地に恵まれてか、そう言う所が数多くあるのだ。

生徒達が消息を絶つと言う、不思議な森然り。

「綱吉君! 居ますか?!」

洋風の家門を思わせるようなゴシック調の門を駆け上がる。
この手のイベントには数ヶ所立ち入り禁止となっている施設がある。その内の一つがこの花園。花を散らさないようにするための配慮からだ。そう言う理由で入れないようにしている区域がある。
そういう所には必ず監視カメラや先生が居るのだが、門の上から一望するかぎりあの茶色い頭を探すが見当たらない。代わりに、ベンチで昼寝しているランポウの姿を確認した。
探し人の声ではなく、噴水の水が流れ落ちる音とランポウの規則正しいいびきが聞こえてくる。

「外れ、ですね」

風はくるりと背を向けると、目の前から物騒な武器を持って駆けてくる生徒達を確認した。その数8名。

「本当に双子さんだけでしょうか…心配ですね…」

先程から遭遇するが綱吉もアルコバレーノの一員。狙われないとも限らないのだ。
風は少し飛び降りた所で門を思いっきり蹴ると、一瞬で詰める。容赦なく鳩尾に、顎に、首の後ろに拳を叩きこんで3人をのして道を切り開くと、追って来た彼等を無視して走り去った。

それはまるで、風のように。

ぽかんと口を開けている生徒達など歯牙にもかけずに、今度は屋上へ目標の地を定めた。


○○○


左から、右から、下からも上からも。
隙あらばそこを狙う様に双子の王子が見たことの無い形をしたナイフを投げつけてくる。
只今、綱吉は屋上で双子に一方的な殺意を抱かれたまま後悔した。

―――何処に居るかちゃんと言えば良かった!!

マーモンが居ないと言う事実に混乱してリボーンについつい電話をかけた。
秀忠が「スカルなら手薄だろう」という言葉さえ思い起さないほど、秀忠に次いで身近に居る兄、リボーンへと連絡してしまったのだ。
たまたま出てくれたから良かったものの、その会話を聞かれてか屋上に追放されていた双子には勘違いされてしまった。
その際にナイフが飛んで来て携帯電話でガード。『屋上に居る』とうい事を伝えられずに携帯電話を破壊されてしまった。

額を貫くかのように飛んできたナイフを屈んで躱した。
すると今度は真横から飛んで来て、屈んでいた所を更に転がる。そこへナイフを突き立てて来てチョコレートを抱きかかえながらゴロゴロと転がる嵌めになった。

‐ツナ! ハイパー化して脱出を…‐
「そう、なんだけどっ!」

ぐるん、と飛び起きて、わざわざ真正面からスライディングで突っ込んできた黒い方(多分、ベルフェゴール)の攻撃を飛び起きて回避する。そこを祖父から受け継いでいる超直感で背後からやって来た白い片割れ(多分、ラジエル)から逃れるべく前に転がった。
この角度で突っ込んでくれば、目の前で起きあがっているベルフェゴールにぶつかるのは必至だと思われた。

「ベル!」
「来んじゃねぇよ!」

と言いながら、突っ込んで行ったラジエルの手を掴み、ベルフェゴールはその反動に逆らわずに彼を振り回すように『一回転』した。

「えっ…」
‐なっ?!‐

こちらに吹っ飛ばすようにラジエルの手を離した。彼は先程より勢いを増して戻ってきた。

「ぐえっ!!」

綱吉の腹に突っ込んで来て、逆流して来そうな感覚に耐えるべく『両手』で口を閉じる。

‐ツナ! チョコ!!‐
「え…あっ!」

手で持って奪われないようにしていた筈のチョコレートがない。すると後ろから「王子ゲット〜!」と勝利の一声が聞こえてきた。
のた打ち回る余裕もなく、ベルフェゴールが白い歯を剥き出しにして高らかにマーモンから貰ったチョコレートをお天道様にかざしている。

「よくやった!」
「ふげっ!」

腹に乗っていたラジエルも飛び起きて、べルフェ―ゴールの元へ駆け寄って行く。
綱吉は腹を抱えながら、身体を起こす。
そして、マーモンが持っていたチョコレートを手に取りあう双子へと手を伸ばした。

「待って!」

いつもの綱吉なら、渡してくれるという心遣いに甘えて渡していただろう。こんなに危ない目に合わず、穏便に事を済ませられるからだ。
しかし、彼らには渡せない理由があった。

彼等はマーモンが好きではある。
それは綱吉にとっては大いに歓迎なのだが、問題は双子の王子がその後『取るであろう行動』だった。


双子の王子は…―――『仲が悪い』のである。

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あきゅろす。
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