相合い傘/準太
「準太ぁー!!」
俺の後ろに小さい女の子がぶつかってくる
この声
この香り
あぁ、きっとこの人は…
「お久しぶりです、名前先輩
相変わらずの力ですね」
「何よーその言い方は!
久しぶりに会ったから嬉かったんだもん」
そんな事言われると期待してしまいますって
この人は俺達野球部のマネージャー
見た目はとっても可愛らしい姿なんだけど…
中身は正反対
口はあまり良くないし、すごい馬鹿力の持ち主だ
けれどそんなところに俺は惹かれてしまった
「こぉらぁ──
お前はまた準太に迷惑かけてんのか!」
ひょいっと軽々しく名前先輩を持ち上げたのは3年の慎吾さん
「あ、慎吾。よっ!お土産持って来たぞー」
「お、まじでかー…っじゃねぇ!!
旅行から帰ったと思いや、お前の馬鹿力を発揮するなっ」
「もう、うるさいなぁ」
慎吾さんと名前先輩はすごく仲が良い
2人は付き合っているって噂もあるほどだ
ま、美男美女だし…お似合いだと俺も思う
「ん?準太どした
お土産なら準太の分もあるから心配するなー?」
「…ありがとうございます」
叶わないって思っていてもなかなか諦められない
「あー、ついてない…」
朝は晴れ晴れとしてていい天気だったはずが
放課後になると雨がすごい勢いで降ってきた
ちょうど傘は持っていたので良かったけれど…
「え、マジ!?」
名前先輩の声だ
「今日傘忘れたからラッキー」
なんだ、友達と帰るところか
俺が気にすることじゃない
友達、友達。友達…?
って男──!?
「っ…」
それを知った瞬間俺は走ってた
後先考えずに先輩を引っ張って学校を飛び出してた
「ちょ、準太どうした?」
その言葉を聞いて我に返った
何してんだか…
「びしょびしょだねー」
「好きです」
わけが分からないけど何故だかその言葉が出てきた
自分だって十分びっくりしている
「え…」
「慎吾さんと付き合っているって聞いても諦められなくて…」
「私、慎吾と付き合ってないよ?
慎吾はイトコ。言ってないっけ」
イトコ…?
それを聞いて先走って告白した自分が馬鹿らしく思えた
なんだか体が熱い
恥ずかしいぞ、俺…
「あの、俺──…」
そう言いかけたときだった
俺の唇に何かが軽く当たった
「先…輩?」
名前先輩は俺にキスして、とびっきりの笑顔を見せてくれた
(準太、傘持ってる?)
(ありますよ)
(一緒に入れてね!!)
『相合傘』
***
準太は年上のお姉様方にとことん可愛いがられてる気がするw
ちなみに利央はいじられてるんだろうな
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