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君の悲しむ顔は見たくない
「ふわぁあ……」

大きな口で欠伸をし目をしっかり見開くと、いつもとは違った天井

そうだ

僕は合宿に来ていたんだ

時計を見ると針は5時をさしている

早く起きすぎてしまったが、今から調理場へ行けばゆっくり朝食が作れるな

そう思って着替えをしてから早足で調理場へ行く



「……あ」

「やぁおはよう」

部屋のドアを開けると待ち受けていたのは青学の不二周助と菊丸英二

きっと朝練にでも行こうとしていたんだろう

でも今や目的は僕になっている……と思う

我ながら運が悪いきがする


「何のようですか。僕急いでるんです」

「麗華に謝りにでもいくのかい?」

それは皮肉を込めた言葉


「何言ってるんですか?僕は謝らない。そう言ったハズです」

「お前もさぁー、いい加減にしろよな
麗華がどれだけ傷ついてるか…」

菊丸がため息まじりに言う

「!、あの女は傷ついてなんかない!…………っ」

そう怒鳴ったときだった

不二が僕の顔を叩いたのは

「フラれた腹いせなんかやめろ」

冷たい目で僕を見てから二人は去っていった

叩かれた右頬がヒリヒリ痛い

溢れそうな涙を必死にとめて、僕は歩きだす



やっぱりまだ誰もいないか

5時からって早すぎだよな

少し皆を待とう

そして冷凍庫から氷を出して右頬を冷やす

不二周助…少し怖い…な



「潤?」

「……仁王」

ラケットを持っているということはこれから練習をしにいくのだろう

仁王にしては珍しい

「お前さん…頬、どうしたんじゃ?」

慌てて氷を隠すが遅いに決まっている

「ベッドから思いっきり落ちちゃった」

「何言うとる。誰かに叩かれたんか」

そう言う仁王の声はどこか怒りがある

そりゃこんな赤かったら分かってしまうよな

でも本当のことを言うのは何だか嫌で…

「違う。違う……よ」

仁王の目を見て精一杯にそう言うしかなくて…


「そうか…。お前さんも女なんじゃから気をつけんしゃい」

仁王はポンポン、と僕の頭を撫でて外へ行く

「…ありがとな」

僕は小さく呟いた





なんだかんだで仁王にはお世話になっている

今度お礼するよ

……多分

あぁ、まだ頬が痛い






(僕は大丈夫だから)

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あきゅろす。
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