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なんてったってヒーロー


「――潤?」

幸村の部屋を出ると、聞き覚えのある声に呼ばれた



「リョーマぁ…?」

潤と仁王の前に現れた人物…それは越前リョーマだった


「潤、ここで何してんの?」

「僕は立海のマネジで…。てかリョーマ、そのジャージ…」

ここに来ているということ

そしてその見覚えのあるジャージ


「あぁ、俺青学でテニスしてるから」

知りたくなかった事実

リョーマが…………?


「何、お二人さん知り合いか?」

「…詐欺師の人。まぁね」

その覚えかたもどうかと思うが…

でもリョーマがそこまで覚えてるのは凄いことか



「潤は色んなやつと知り合いじゃの」

「あはは…」

それは思い出しちゃいけない記憶

触れちゃいけない記憶


「つか青学の皆、どこにいるか分かる?」

リョーマのことだから遅刻でもしたのだろう

ていうことはさっきのことは知らないんだ

でも青学の生徒…

一か八かで先ほどのことを説明する




「ふぅーん…、またか」


「また?」

その意味深な言葉が引っ掛かる

「うん。あの人さ、気に入らない人いるとすぐそうやるんだ
先輩たちはあの人の肩もつし…」

「そうなんだ…」

「部長がいない今は止める人がいないし…
俺が何言ってもきかないんだよね。…でも今回は別か」


最後の方になるにつれて声が小さくなっていったがちゃんと聞こえた

でもそれはどういう意味なんだ

一緒にいた仁王は笑っている

どういう意味かは分からないが、つまりは…

「それってリョーマは僕の話を信じてくれるの──…?」

「だって潤、嘘つけないじゃん」

確かにそうかもしれないけど…

まさか青学の人が味方になるなんて思ってなかった


「んじゃ、俺は先輩たちんとこ行くから」

「うん、ばいばい」

「本当、面白いやつじゃな」

リョーマが去ったあとで潤はあることを思い出す



「…あ」

「何か忘れ物でもあったか?」

「そういえば夕飯作ってない…」

麗華との事件ですっかり忘れていた

僕たちは夕飯を作ろうとしていたんじゃないか

時間は予定よりかなり遅れてる

…作れるか?


「確かにもうすぐ夕飯の時間じゃな」

「ね、仁王」

少しの沈黙



「しょうがないのう」

だが、仁王が折れる

「まじ!?ありがと!」

さすが仁王だ

仁王がいれば少しは楽になる

なんてったって仁王の料理は超美味しいし、調理時間が短い

救世主のようなもの



「何時もすまないねぇ!」

「…本気でそう思ってるか」

「当たり前!」





(じゃあヒーローにお礼のキスを…)
(死ねっ)

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あきゅろす。
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