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危険な合図
「桃っ、英二!麗華を医務室へ運んで!!」

不二の声が周りに響く

「了解!」

不二に言われた通り桃城と菊丸は麗華を運ぼうと肩を持ち上げる

何だか雲行きが怪しくなってきた

雨が降りそうだ


「っ、邪魔だ!」

色んな人にぶつかられる

まだ皆走りに行く前だったようでほぼ全員がここにいた

「……何があった」

「真田ぁ…」

いつもの真田じゃなかった

怒られると思ったのに

叩かれると思ったのに

どうして優しい声で聞くの?

どうして悲しい目をしているの?



「僕っ…僕は何もしていない!」

震える声を精一杯だして僕はその一言を言ってから地面にうずくまった

「それだけ聞ければ充分だ
……ジャッカル、赤也!潤を部屋に運んでくれ」


「分かった」「了解っス」




「よし、てめぇらも取り敢えず中に入れ!話はそれからだな」

潤と麗華が行ったあと、跡部の号令で一先ず全員中に入っていった


ジャッカルと赤也に連れられ僕は自分の部屋の椅子へ座らせられた


「…宮内は怪我の手当てをしているようだ」

後から来た柳が教えてくれた


「……ねぇ、皆」

やっと高ぶる感情がおさまって、僕は口を開いた

「何でここにいるの?麗華さんのとこにいかないの…?」

それは僕が心配だったこと


「何言ってるんじゃ。俺らは潤の味方ぜよ」

僕の頭を撫でた仁王の手は、温かくて優しくて安心した


「何があったかわかんねぇけど、お前は酷いことするやつじゃねぇだろぃ?」

「ブン太…ありがとな」

「しかし状況は悪いぞ、潤」

柳は暗い表情で言った

彼の数字には出てるのだろう

どれだけ僕が不利なのかという数字が…


「うん、分かってる。でも皆がいれば僕は─────勝てる」

「勝てる?」


「そう、これは彼女との勝負。」

冷静になるんだ

僕はここで引き下がっちゃいけない

"綾"が味わった苦しみを彼女に教えなくてはいけない

それが僕の役目───…



「詳しいことは言えない。でも皆には手伝ってもらうことがあるかもしれない」

「そんなことおやすいご用っスよ」

「だがその前に先ほどのことをしっかり話して貰おう」

「うん。あのね────」



「麗華、大丈夫かい?」

「っ…う、うん…」

ここは医務室

今は宮内麗華と青学がいる

先ほどまでは他の人もいたのだが、麗華の頼みで青学だけが残ったのだ



「そういや桃、おチビは?」

「あ、なんか今こっち着いたみたいです」

「越前も遅刻とは何してるんだか」



「越前も無事着いたみたいだし…ね、麗華
さっきは何があったんだい?」

不二の優しい声

麗華は泣きながら話し始めた


「なっ…んかねぇ…夕飯の用意するためっ、に…潤君が食材取りに行こってぇ、…言ってきて…」


「そしたらぁ…違うほうに連れられちゃって…
何か告白さっ、されてフッたのぉ…で、潤君怒っちゃって…カッターで切られたっ、…」


「何だよそれ!?フラれた恨みってことか!」

ドンっ、と壁を蹴った桃城

「また綾ちゃんみたいにいじめられちゃうの………?」


「そんなことさせないさ!」

「麗華の味方が多い確率…90%」

「皆ぁ…っ」


「それより、彼…どうにかしないとね」

不二の言った言葉に、皆無言で頷く






(僕達は許さない、絶対に)

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あきゅろす。
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