物語の本当の始まり
「…ねぇ、麗華さん」
「なぁに?」
倉庫へ向かっていたハズだったのに何故か僕は麗華さんに連れられ倉庫とは違う場所に向かってる
別荘の敷地内というのは分かるんだけど…
「こっちじゃないですよね、倉庫」
「うん…あのね、潤君に聞いて欲しいことがあるんだぁ」
嫌な予感がする
僕が男だったら手を振りほどけるのに…
「何ですか」
「あのね…麗華ぁ、潤君のこと好きなんだぁ!潤君も麗華のこと好き…でしょ?」
は?
何言ってんだ、こいつ
そしたら僕はレズってことになるじゃないか
「あのさ、僕はおん…」
「だから麗華、付き合ってあげるよ!」
人の話聞いてくれ
僕は女なんだってば
「麗華モテるから…嫉妬してくる女の子もいるの
だからちゃんと守ってね?」
……!!
「へぇ…ね、前のマネジもそうだったの?」
「そうなの!麗華めっちゃいじめられちゃって…最悪だった
────小池綾って言うんだけどね!」
「そっ…か…」
「もう本当最悪な女よ!
…だからぁ、麗華をいじめた罰が当たったんだよ?」
「そうなんだ。ねぇ…さっきの話に戻るけど…」
暗く…重く…
口が開いた
「うん。あっ、付き合うって話?」
「そう。僕さ、君のこと…
大嫌いみたい」
「え────…?」
きっとこの時の僕は笑ってたんじゃないかな
溢れそうな涙を隠すかわりに…
そして憎くて憎くてたまらない君をみて…
「香水臭いし…そのぶりっこな態度も見ててムカつく
どうせ本当の君はそんなんじゃないんだろう?
早く見せてよ、本当の君を。ね、麗華さん」
「…………ふふ」
僕の気持ちを伝えたら、いきなり彼女は笑いはじめた
「…?」
「何それっ。何か綾ちゃんと同じこと言ってるし…
───麗華を騙してたってこと?」
怖い
何でか分からないけどそう思ってしまった
「麗華ぁ、手に入らないものは捨てちゃうの。どういう意味か分かる?」
「何するきだよ…」
「あれ、分からない?」
嫌な笑い方をする…
悪寒がする
「…こうするの!!」
「!?」
潤が見た光景
麗華は自分のポケットからカッターを取りだし、着ていたジャージを破いたのだ
下着は少し見えているし、軽く血も出ている
「っ、きゃあぁあぁぁあ!!!」
「!?」
「ばいばい、潤君」
そう言った麗華はとても不気味だった
「おい、どうした!?」
麗華の悲鳴から少したってから続々と人が集まる
僕は何が起きたか分からなくて呆然とその場に立ちつくしかなかった
麗華は泣いているし、来た人たちは麗華のほうへ行く
僕を睨む人さえいた
始まってしまった
彼女の新たな計画が
僕を地獄へと落とす計画が
そして僕の復讐が────…
物語の本当の始まり
(彼女の方が一枚上手)
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