我が儘王子/デンジ
「…やばい、死にそう」
そうデンジから電話が来たのはどれくらい前だっただろう
いきなりそう言われて私は理由も聞かずに電話を切ってしまった
そして今、急いでナギサシティへと向かっている
しかし私といえばシンオウ地方にはいなく、ホウエン地方を旅していたので'そらをとぶ'を使ってもなかなかつくことが出来ないでいた
会いたいのに、会えない
こんな時どうして近くにいれないんだろう
もどかしくてたまらなかった
ムクホークにお願いして、もうスピードで空を飛んでもらって何時間も経った今
やっとナギサシティの前、222番道路につく
すると何処かで見たことのあるアフロが地上にいたのだ
「あれ?名前ちゃん。何急いでんのー?」
「うっさいアフロ!!私はデンジのとこに急いで行かなきゃいけないのよ!」
「アフロじゃなくてオーバだ!……ってかデンジはジムじゃなくて灯台にいるぞー」
アフロの頭上を颯爽と通りすぎる
他の言葉は耳に入らなかったけど、デンジの居場所だけはしっかりと聞いた
「分かった!アフロの癖に役にたつわね!!」
私はアフロに目を向けずそれだけ言ってナギサへと飛ぶ
「って………俺の出番終わりぃぃ!!?」
「デンジっ…………!」
大丈夫?と言おうとすると、デンジに思い切り抱き締められた
「あー、もう…無理」
「ちょ、何!?熱でも出た?」
「違う」
確かにそんな様子はない
それに熱があったら灯台になんか来ないだろう
「じゃあどうしたのよ」
「──名前が足りなくて死にそう」
「……は?」
デンジの放ったその言葉に私はそれしか出てこなかった
「お前、ホウエン行ってから全然連絡寄越さねぇじゃん。名前に会うの何ヵ月ぶりだよ……」
嘘…それだけ?
確かに全くこっちには連絡寄越さなかった
「だって…デンジの声聞いたら帰りたくなっちゃうじゃん…」
私だってデンジに会いたかったんだ
でも自分の夢を諦めたくもなくて…
デンジからの接触はなるべく無視した
「なんだよそれー…」
「でもデンジが電話くれる前に実は四天王倒したんだ
だからこれからは一緒にいれるよ」
私、強くなったでしよ?と付け加えて笑顔で言った
「まじか…。じゃあもう離さない、一生」
灯台にいると言うことを忘れて私達はもっと強く抱き締めあった
(本当、大袈裟だよね。デンジは)
(だってはやく会いたかったから)
『我が儘王子』
***
自己中なデンジが好き
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