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リリカルなのはの小説
平穏B



†side幸騎†




「私高町なのは。分からない事があったら遠慮なく聞いてね」



驚いた。まさか翠屋の娘がこのクラスだったなんてな……しかも隣の席になってしまった。
とりあえずバレない様にしないといけない。


もし近所に住んでいた中峰幸騎だとバレれば最悪殺すべきだろう。

そうしなければせっかくジェリドさんに作って貰った偽の住民票の意味がなくなってしまう。


そんな事を考えながら平静を装い返事を返す。



「……あぁ、ありがとう。さっき言ったけど中峰幸騎だ。よろしく」



と普通に自己紹介。しかし高町は一瞬おかしな表情をした。


それを見逃さなかった幸騎はすぐに話しかけた。


「さっそくで悪いんだけど、一限の授業は何?」


うまく話しをして考えさせないようにする。いきなりバレて逮捕だなんて絶対ごめんだ。


どうやらその目論みは成功したみたいで高町は考え込むのを止めて律儀に答えてくれた。



単純だな……


この世界での生活は簡単そうだと思った。













だが、ある事件がその考えを根底から覆すことになる...










†side雅義†



……なぜ、このクラスになってしまったのだろう。



ある二つの事件を解決に導いた天才、高町なのは。


『P・T事件』の主犯、プレシア=テスタロッサの娘アリシアのクローン体であるフェイト=T=ハラオウン。


現在の闇の書の主である八神はやて。



このクラスは自分も含めて異常者だらけだ。

こんな所で自分の正体を隠しながら生活できるのだろうか?


ひねくれた性格の幸騎はなぜか高町なのはと普通に話しているし……



「…………」

「………」



隣では月村すずかが喋り掛けようとしきているが、あえて無視をしておく。

なるべく此方から喋り掛けないようにすれば情報も漏れないだろう。


この教室には時空管理局の局員が三人もいるのだ。いつどこで正体がばれるか分かったものではない。



けどバレた時の事も考えておかないとな。俺は問題ないが真希が危ない。

「あの……」


ようやく喋り掛ける決心が着いたみたいだ。


「なんだ」

「私月村すずか。よろしくね」

「斎藤雅義だ、よろしく」



自己紹介をしてきたので普通に返しておいた。


「……雅義君は前はどこの学校にいたの?」

「外国だ。学校には通っていなかった」

「すごいね。どこの国?」

「スペインとシエラレオネ」


「そ、そうなんだ。中峰君とは知り合いなの?」
「いや、今日登校する途中で“偶然”会って仲良くなった」



だらだらと話している内にいつの間にか沢山の生徒に囲まれてしまっていた。


幸騎の方を見ようとするが野次馬が邪魔で確認する事もままならない。

けどどうせあいつも囲まれているのだろう。



「なぁどこの学校から来たんだ?」

「どこに住んでるの?」

「中峰君と知り合い?」


考える暇もなく次から次に質問攻めだ。

うるさい事この上ないが、答えないとずっとこのまま続きそうなので適当に答えて済ました。









†side幸騎†


ようやく授業が終わって放課後になった。


放課になる度に質問攻めだ、よくもまぁあんなに質問を考えられるな。



そしてそれに全て答えた俺はよくやった。

達成感に浸りながら荷物をまとめていると、女子が声を掛けてきた。


「ねぇ中峰君、今から一緒に帰らない?」

「すまんが、雅義と帰る。ついでによる所もあるから無理だ」

「そう、ならしかたないかな」


そう言ってその女の子は帰っていった。


知らない女子などと一緒に帰るよりは雅義と今夜の事について話していた方が現実的だ。

それにあまり可愛くなかったし。






「ちょっとあんた」



そうして帰ろうとしていると、また声をかけられた。



今度は強気なやつだ。
なんか怒ってるみたいだけど、めんどうだ。


さっさと終わらせよう……




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あきゅろす。
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