[携帯モード] [URL送信]

平凡な日々に亀裂を…(長編)
死屍累々(笑)












「なぁ佐助、そういえば幸村は?
さっきから姿どころか声すら聞かないんだけど…」



というか宴が始まってから一度も見てないような。
いつもならうるさいくらいなのに…


…返答がない佐助の方を見ると、

あれ、なんで複雑そうな顔してるんだろうか?




「あぁ、だんな〜?
真田の旦那はちょっとね…」


「ちょっと?
なんだ、具合でも…?」


「いやそうじゃなくて…
ほら彼処、見える?」




佐助の指差す方に目をやるとなんというか…




死屍累々(笑)

そのいちばん端、隅っこの方にあのしっぽが…



「なに、幸村のやつ勇猛果敢な武将のくせに酒弱いのか?
あんな無様にひっくり返ってるけど…」


「あは〜、違うよ。
旦那だってお酒弱いわけじゃないんだけどね…
あれ、悠ちゃんの第一の敗者なんだよねぇ」







なるほどねぇ…
そりゃいつもの何倍もの勢いで飲んだらぶっ倒れもするわ。

でもいいのか?
真田幸村ともあろうものがあんな風に他に混じってひっくりがえってて…




「翔 〜、早くしろよ〜」


「ほら、御呼ばれしちゃってるよ翔 ちゃん?
あぁそれと…」


「ん〜…?」



「みんな二人のこと男だと思ってるから、そのつもりでね〜?
頑張ってね、翔 の旦那?」



「…へぇ、そりゃ
どうりで。」






悠の着替えも、赤くなってる女中も、なんのお構いもなしに飲み比べてる兵士さんたちも
みんな俺らを男だと思ってるからの行なわけで…


なんかへんだなぁっておもってたんだよ。


俺に後から着流し持ってきてくれた娘もなんか…なんかね。







「へぇ、貴方が翔 殿で!!」


「翔 殿はいける口ですかな?」


「一緒に飲みましょうぞ!」




「…あぁ、はい。
どうも…」



なんでだ。なんでこうなった…
俺はいつも一人でいるのに、いつも…

いつも悠は俺を和に引き込んでいく。




今の俺の知り合い、仕事仲間、みぃんなアイツ繋がりだ。
俺は、あれからずっと一人だったのに…




あれから……ずっとな。







「早く来いよ〜。
幸村も潰れちまったし、つまんない!」


「ふふ、お前はほんっとに…」


「翔 の旦那…?
どうしたのさ…?」



「悠悪い、俺ちょっと酒の臭いに気持ち悪くなったから外行ってくるな〜
じゃぁ、程々にしとけよ〜」









[*前へ]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!